2001 Fiscal Year Annual Research Report
水素吸蔵処理によるAl-Mg材の結晶粒微細化とそのメカニズム解析
Project/Area Number |
12650702
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
船見 国男 千葉工業大学, 工学部, 教授 (90010876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 秀治 千葉工業大学, 工学部, 助手 (30178983)
鈴木 浩治 千葉工業大学, 工学部, 講師 (70322427)
河野 紀雄 千葉工業大学, 工学部, 教授 (80083822)
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Keywords | 水素吸蔵 / 水素化物 / 結晶粒微細化 / Al-Mg合金 / 機械的特性 / 疲労 / 腐食 / 三面鍛造 |
Research Abstract |
本研究は水素化物をつくる合金において、水素化物を転位の固着源として作用させ強加工により多量のひずみエネルギーを導入し、再結晶にて結晶組織微細化を図ろうとするものである。5083Al材を対象とし初年度は1)水素吸蔵条件の把握と水素化物の分布状況と存在位置の同定ならびに解離条件2)加工条件と組織、引張り特性について調べた。本年度はその延長上の研究として1)超塑性、疲労、腐食特性など微細材の有する機械的特性評価、2)水素吸蔵処理前の初期結晶粒を微細にした場合の吸蔵効果、3)外力負荷形態を変化させた場合の蓄積ひずみエネルギーの推定、再結晶分布との関係を求める事を目的とし新たに得られた知見は以下のようである。1):組織微細化と共に疲労耐久限度は上昇し、粒径9μmの微細材の耐久限度は粒径80μm鋳造材のそれより8割上昇した。しかし、再結晶が不十分で加工ひずみが残存した微細材では耐久限度が変わらないものの、10^6以下の繰り返し数での時間強度は降下する。また、予鍛造加工のままでは微細材においても粒界腐食が顕著に見られ、予鍛造により組織微細化が進んでも、旧粒界での腐食が優先的に進行し、微細加工の程度により粒界腐食の量が左右される。しかし、これら試料を脱水素、再結晶処理したものは粒界腐食も優先的に進行せず腐食面は比較的滑らかある。2):組織微細化のために行った予鍛造加工により結晶粒は10μm程度になるがこの状態で水素吸蔵させても大部分が粒界を介して材料内吸蔵され、鍛造により格子間に導入されたひずみのため粒内への侵入はほとんど見られない。そのため水素化物の生成が不十分で強度上昇には繋がらない。しかし、鍛造後、再結晶処理をすることにより水素化物の生成は十分粒内にも認められ強度上昇が可能であった。3)予加工自由鍛造に比べ3面拘束鍛造は数サイクルで加工硬化が飽和値に達し、結晶粒も等軸の形態を示し、ECAP加工の加工ひずみ上昇、結晶粒形状に近い挙動を示している。且つ、方位分布も高傾角の存在確率も高くなっており、素材寸法の制限もECAPより低くなっており、既存の設備利用で容易に微細材を得ることが可能である。
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Research Products
(1 results)