2000 Fiscal Year Annual Research Report
アルミニウム合金の電子ビーム溶接時における気泡挙動および凝固組織の解析
Project/Area Number |
12650713
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤井 英俊 大阪大学, 接合科学研究所, 助教授 (00247230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野城 清 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (40029335)
松本 大平 大阪大学, 接合科学研究所, 助手 (30294135)
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Keywords | 微小重力 / 電子ビーム溶接 / アルミニウム合金 / 気泡 / 酸化皮膜 / 表面張力 / 対流 / 微細組織 |
Research Abstract |
微小重力環境および地上でAl-Cu系合金A2219を電子ビーム溶接し,結果を比較することで,気泡挙動におよぼす重力の影響を調べた.地下無重力実験センターの落下塔で使用するために,従来のものと比べて非常に小型の電子ビーム溶接装置を開発した.特に,フィラメントから試料までの距離は370mmと非常に小型化されている.ビーム径は3mmと大きく設定し,アーク溶接のような熱伝導型の溶接が行える仕様とした.溶接試料の透過X線像を観察することによって,微小重力環境で気孔量が大きく減少することがわかった.しかしながら,それは4Al(l)+Al_2O_3(s)=3Al_2O(g)の反応によって生成する気孔の場合のみであり,水素の溶解度減少によって生成する気孔については,逆に微小重力環境で多くの気孔が残存した.これは,微小重力環境では重力による対流がないため,気泡が外部に開放されにくいからである.Al_2O気泡が微小重力環境で減少する理由としては,Al_2O気泡が安定に存在できる平衡分圧があまり大きくないことが考えられる.溶融池内の気泡は常に溶融池との間の界面張力によって付加的な圧力を受ける.この圧力は気泡径が小さければ小さいほど大きく,これが気泡の平衡分圧を超えると気泡は消滅する.微小重力環境においては溶融池内の対流が非常に遅く,気泡の合体が制限されるため,気泡が小さいままで存在し,多くの気泡が消滅したものと考えられる.また,A2219と純Alの突合せ溶接を行い,A2219のみに含まれるCuの分布を調べることで,溶融池内の対流におよぼす重力および表面張力の影響を調べた.この結果,Al合金の場合,表面張力の対流が非常に弱く,微小重力環境で電子ビーム溶接を行うと,対流が非常に弱いことがわかった.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Nogi,H.Fujii et al.: "Electron Beam Welding in Microgravity Environment"ISIJ International. 40. s10-s14 (2000)
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[Publications] K.Nogi,H.Fujii et al.: "Welding Phenomena of Al-Cu Alloy in Electron Beam Welding"Materials Science Forum. 331. 1763-1768 (2000)
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[Publications] 藤井英俊,松本大平: "微小重力環境を利用した材料研究"素形材. 41,9. 14-19 (2000)
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[Publications] Y.Aoki,H.Fujii and K.Nogi: "Effect of Gravity on Welding Phenomena"Space Forum. 6. 187-193 (2000)