2001 Fiscal Year Annual Research Report
イオンビーム・プラズマ援用超微粒子加速衝撃法によるダイヤモンド状膜の形成
Project/Area Number |
12650716
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
井出 敞 愛媛大学, 工学部, 教授 (20029276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 洋通 愛媛大学, 工学部, 助手 (00217572)
八木 秀次 愛媛大学, 工学部, 助教授 (40036471)
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Keywords | ダイヤモンド状膜 / 炭素超微粒子 / 静電加速法 / 磁界・高周波援用 / 膜成長速度 / 境界摩擦特性 / マグネトロンスパッタ効果 / ホッピング伝導機構 |
Research Abstract |
1.磁界・高周波援用超微粒子衝撃コーティング法による効率的DLC膜生成の検討 従来の超微粒子衝撃コーティング装置(DC高電界のみ印加)を,高周波(RF)及び磁界(マグネトロンスパッタ効果(MS))の重畳が可能なものにとし,成膜領域の電極形状も変更した.その結果,膜成長速度は,1)MSのみ援用の場合で従来比の約11.3倍(新電極にDCのみ印加した場合の約2.5倍),2)MSとRFを両用した場合で従来比の約14.7倍(同じく約3.2倍)と著しく向上した. 2.超微粒子の衝突条件に対する膜成長速度(粒子付着確率)の検討 超微粒子の衝撃エネルギ定量化に不可欠な帯電量測定実験を継続し,電子ビーム照射帯電装置へのカーボンブラック粒子の均一分散供給法を究明した.昨年度に提案した,凝固溶剤の真空昇華によって分散超微粒子を供給する方法は,真空度低下を生じて問題があった.そこで,静電的噴霧微細化供給法を試み,帯電実験に適用できる可能性を見いだした.今後は,電子ビーム照射条件に対する帯電量を把握し,静電加速における衝撃エネルギと膜成長の関連を追及する. 3.形成膜の膜質と特性評価 形成DLC膜は超微粒子の衝撃変性に応じてアモルファス構造化し,抵抗率とその温度係数が高くなる.この特性を利用して膜質と膜形成条件の関係を明らかにした.さらに,大気中の同一軌道上での繰返し摩擦実験によって,膜質と境界摩擦特性の関連についても調べた.その結果,1)MS援用さらにMS・RF援用すると,膜成長速度は低下するが,アモルファス構造化が進む.これは,超微粒子からの炭素スパッタ及び形成膜からのグラファイト相の選択的除去によるものと推察される.2)アモルファス相の含有率が高いDLC膜では,表面ガスの吸着量は少ないが吸着熱が高く,境界潤滑効果が長く続く. 4.研究成果のまとめ 磁界・高周波援用超微粒子衝撃コーティング法によるDLC膜形成について,膜成長効率,膜微細構造及び潤滑性に関する従来法を含めた総合的評価を行うことができた.
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