2000 Fiscal Year Annual Research Report
金属/セラミック複合溶射皮膜の電解アーク加熱による改善とその評価
Project/Area Number |
12650724
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
森本 純司 近畿大学, 理工学部, 教授 (30088471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 信行 大阪大学, 接合研究所, 助教授 (90127176)
佐々木 洋 近畿大学, 理工学部, 講師 (70205871)
富江 通雄 近畿大学, 理工学部, 教授 (60029139)
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Keywords | Ni基自溶合金 / セラミック / フレーム溶射皮膜 / 電解アーク加熱 / 耐摩耗性 / 貫通空孔 / ロックウェル硬さ / WC-Co粉末 |
Research Abstract |
基板の鉄鋼材料表面に対してフレーム溶射装置によりNi基自溶合金/WC-Coセラミック複合皮膜(厚さ0.3〜0.5mm)を形成した後、電解アーク加熱による再加熱処理を行い、高機能表面層を持つ金属材料の開発を試みた。処理条件は、電解アーク発生電圧,140V,150V,160Vであり、電流密度,3.2〜3.8mA/cm2に設定した。また、電解アーク加熱時間は、30〜150secである。これらの条件により再溶融処理したNi基自溶合金/WC-Coセラミック複合皮膜に関して皮膜構造の形態観察、EPMA分析、ロックウェル硬さ試験、噴射摩耗試験などを行い、高品質複合溶射皮膜形成の可能性を明らかにした。以下に得られた結果の要約を示す。 (1)Ni基自溶合金粉末とWC-Coサーメット粉末の混合比率を20〜50%に変化させてフレーム溶射皮膜を作製した結果、40〜50mass%WC-Coサーメット粉末を含有する皮膜においてポロシティ等の欠陥が極めて少なく、WC粒子が均一分散した皮膜を形成できた。 (2)Ni基自溶合金/WC-Coセラミック複合皮膜に対する電解アーク加熱による再溶融処理では、電解アーク発生電圧,160V、アーク加熱時間,90secの処理条件において最も高硬度のロックウェル硬さ,平均HRC45を得ることができた。これらの皮膜について高精度噴射摩耗試験法により評価した結果、同条件で作製した皮膜は、摩耗量も少なく耐摩耗性に優れていることが認められた。 (3)電解アーク加熱の再溶融処理により高硬度を示したNi基自溶合金/WC-Coセラミック複合皮膜に関してEPMA分析した結果、主要構成元素のNi,Cr,WC,Coは、均質分散していることが認められた。電解アーク加熱の再溶融処理によって、皮膜部の貫通空孔も消失しており、耐食性に優れていると推察される。耐摩耗及び耐食性に優れているためエロージョン摩耗の起こる環境においても適用可能と考えられる。しかし、溶射皮膜形成時(As coat)の皮膜構造が緻密でない場合は、電解液の浸透による欠陥部の発生が認められた。
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Research Products
(1 results)