2000 Fiscal Year Annual Research Report
バイポーラ膜電解による強還元性溶媒の製造とその応用
Project/Area Number |
12650739
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 智司 千葉工業大学, 工学部, 助教授 (80118710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増子 昇 千葉工業大学, 工学部, 教授 (30010747)
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Keywords | バイポーラ膜 / イオン交換膜 / 強還元性溶媒 / 2価クロム / 電解還元 |
Research Abstract |
本研究はアニオン交換膜とカチオン交換膜を張り合わせた構造を持つ特殊なイオン交換膜であるバイポーラ膜の湿式製錬技術への適用の一環として、一連のCr(II)、Ti(III)、V(II)等の強還元性溶媒をバイポーラ膜使用した電解槽で電解還元製造を行い、その膜特性を知ることと、作製した強還元性溶媒の応用の研究である。 12年度はバイポーラ膜電解槽の作製とCr(II)溶液の製造を行った。 電解槽はバイポーラ膜(ネオセプタBP-1)で陽極室と陰極室を仕切り、膜のカチオン側を陰極室、アニオン側を陽極室に向けて組み、陰極にPb板、陽極にNi板を使用した。陰極液の被還元溶液であるCr(III)溶液と陽極液のNaOHを2台のポンプで別々に循環させる方式である。塩化クロム、硫酸クロムの2種類の溶液を用いて、電解諸条件が還元率および電流効率に及ぼす影響を調べ、その電解特性及び膜特性を調査した。 従来のアニオン交換膜やカチオン交換膜を使用した電解還元によるCr(II)製造では、副原料を要し、またそれを再生する付加回路が必要なものがあるが、バイポーラ膜電解では副原料に水、用役として電力だけで製造ができ、また塩化物を原料とした場合でも副産物はO_2とH_2に限られるという原理的優位性を確認した。また陽極液は電解中交換の必要がない、陰極に析出物がない、両極室とも簡単な洗浄だけで再使用できるなど連続操業する上で、本装置の実験室規模の電解槽として優位性も確認した。 塩化クロムは電流密度の大きい場合、残存Cr(III)濃度が小さくなると極端に還元電流が小さくなり、還元率は70%で停滞する。それに対して硫酸クロムは残存Cr(III)濃度に関係のない還元電流で還元が進行し、100%還元される。電槽電圧と電流密度の関係は電解時間を長くしても変わらず電解中、膜には変化はなかった。これらの成果はサンフランシスコの国際会議PMP'2000で報告した。
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Research Products
(1 results)