2001 Fiscal Year Annual Research Report
バイポーラ膜電解による強還元性溶媒の製造とその応用
Project/Area Number |
12650739
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 智司 千葉工業大学, 工学部, 助教授 (80118710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増子 昇 千葉工業大学, 工学部, 教授 (30010747)
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Keywords | バイポーラ / イオン交換膜 / 強還元性溶媒 / 3価チタン溶液 / 2価バナジウム溶液 / 黄銅鉱 / 還元浸出 |
Research Abstract |
本研究はアニオン交換膜とカチオン交換膜を張り合わせた構造を持つ特殊なイオン交換膜であるバイポーラ膜(ネオセプタBP-1)の湿式製錬技術への適用の一環として、一連の強還元性溶媒Cr(II)、Ti(III)、V(II)をバイポーラ膜を使用した電解槽で電解還元製造を行い、その膜特性を知ることと、作製した強還元性溶媒の応用の研究である。 今年度はTi(III)、V(II)溶液の製造と、その応用としてTi(III)溶液による黄銅鉱の還元浸出を行った。 バイポーラ膜で陽極室と陰極室を仕切った電解槽を組立て、陰極液に被還元溶液Ti(IV)およびV(V)溶液を、陽極液にNaOHを2台のポンプで別々に循環させ定電流電解した。還元率は硫酸チタンが70%、塩化チタンは100%、それに対して硫酸パナジウムは90%で、V価→IV→III→II価と3段階で還元が進行することを溶液電位を測定することにより確認した。電流効率の低下は競合反応の水素発生のためであるが、またこの水素発生は電極近傍での境膜層厚さの低下に寄与する2面性があることがわかった。バイポーラ膜における電圧構成には水の分裂に伴う電圧が必要であるが、0.83Vとほぼ理論に近い値となり、新しく開発された機能材料であるバイポーラ膜は工業電解膜として仕様通りの性能を発揮することを確認した。またこの一連の強還元性溶媒の製造では副原料に水、用役として電力だけでできるという原理的優位性と、実験室規模の電解槽として優位性を確認した。 黄銅鉱のTi(III)溶液を滴下する電位滴定法による還元浸出では反応は2段階で進行し、その際の発生するH_2Sの逐次定量と液中の溶出鉄量からCuFeS_2→CuFe_5S_4→Cu_2Sの経路で分解されることわかった。本法はCuFeS_2をCu_2S(固体)とすることで、鉄を溶液に溶出し、硫黄の3/4をH_2Sとして回収する原理的に優れた分離法になる。 これらに関連した成果は資源・素材学会の講演大会で報告を5件行った。
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