2001 Fiscal Year Annual Research Report
非線形現象を利用した液々界面での界面活性剤組織化のダイナミクスに関する研究
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12650746
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
塩井 章久 山形大学, 工学部, 助教授 (00154162)
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Keywords | 油水界面 / 非平衡非線形 / マランゴニ不安定性 / 物質移動 / 自発流動 / 時間依存ギンツブルグランダウの式 |
Research Abstract |
交付申請書に記載の計画にしたがって研究を行った結果、本年度は以下のような成果を得た。油水界面での非線形的物性振動発生の原因が、界面活性剤吸着層の熱力学的不安定性に基づくのか、流体力学的不安定性に基づくのかを検討するため、ジ2エチルヘキシルリン酸DEHPA/アルカン/塩化カルシウム水溶液系において、物性振動が発生する条件を検討した。その結果、振動発生には、DEHPAが吸着し水相中のカルシウムと反応すること、および、界面でDEHPAとそのカルシウム塩の一様混合状態が熱力学的に不安定であること、の2点が必要であることが示された。したがって、非線形挙動の発生の原因は、界面活性剤吸着層の熱力学的不安定性にある。一方、油水界面に発生する非線形的自発流動の特性を研究した結果、次のことが明らかとなった。(1)油水界面自体の不安定性で自発流動が発生する場合、それは統計的に完全なランダム過程となる。(2)有機アミン系のように、油水界面に秩序運動が発生する系では、固体壁面を介しての界面活性剤の移動が、固体壁面での液々接触角の変動を誘起し、それが、秩序運動発生の原因となる、(3)秩序運動が発生すれば、その運動の固体壁面に沿っての線速度は、容器のサイズ等によらない一定値となる。すなわち、界面物性の振動は、界面活性剤吸着層の熱力学的不安定性で発生し、流体力学的因子は二義的であるが、固体壁面の関与でそれが秩序化する場合があり、その場合、その秩序運動は極めて安定であること、が明らかとなった。さらに、界面活性剤吸着層が熱力学的に不安定な時、バルク相との物質移動によって、界面での吸着量が示し得る時間変化について、時間依存型ギンツブルグランダウの式に吸・脱着による物質移動の効果を考慮して計算を行った。この結果、振動現象の発生には、吸・脱着方程式に少なくとも一つの不安定定常点が必要なことを見出した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] A.Shioi, H.Kumagai, Y.Sugiura, Y.Kitayama: "Nonlinear Properties of Water/Oil Interface Containing Surfactants under Nonequilibrium"Transaction of the Materials Research Society of Japan. 26. 511-514 (2001)
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[Publications] A.Shioi, T.Abe, H.Kumagai, G.Usuha, S.Kondo: "熱力学的不安定状態にある液々界面を通しての物質移動が誘起する界面物性の非線形的振動"化学工学論文集. 27. 690-695 (2001)
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[Publications] A.Shioi: "Oscillation of Interfacial Tension and Spontaneous Interfacial Flow due to Marangoni Instability at Water/Oil Interface Containing Surfactant"Abstract of XV Conference European Colloid and Interface Society. 30-30 (2001)
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[Publications] 塩井章久, 熊谷浩人, 杉浦裕介, 阿部智行, 北山洋介, 薄葉 岳: "界面活性剤の物質移動時に発生する油水界面の非線形特性"化学工学シンポジウムシリーズ. 76. 11-18 (2001)