2000 Fiscal Year Annual Research Report
可逆凝集・吸着性微粒子によるバイオプロダクツの新分離法
Project/Area Number |
12650760
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 翼 北海道大学, 水産科学研究科, 教授 (90002089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 秀司 北海道大学, 水産科学研究科, 講師 (10179327)
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Keywords | 自己凝集 / アニオン態金属 / 卵白アルブミン / エステル化 |
Research Abstract |
バイオプロダクツを効率的に分離する吸着剤の開発を目指して,卵白アルブミンをホルミル化処理によって不溶化し,さらに残存するカルボキシル基をメチルエステル化することにより,新しい吸着剤を調製した。この吸着剤(MeOAと略)の等電点はアルブミンに比べてアルカリ域(約pH11)に大きくシフトしており,通常のpH領域では強いカチオン性を有する。MeOAの基本的な吸着特性を調べた結果,既往の吸着剤では除去が困難なアニオン態有害重金属(六価クロム,ヒ酸など)に対して高い吸着能力を有すること,さらに,これらのアニオン性イオンを吸着することにより,電荷の中和と表面の疎水化が起こり,自己凝集性をもつ新しい機能性素材であることを確認した。卵白アルブミンには元々正電荷を有するアミノ基が存在し,これがアニオン態金属に対する吸着サイトとして機能するはずであるが,未処理の卵白アルブミンにはアニオン態金属はまったく吸着せず,エステル化処理を行うことによって,はじめて吸着能力が発現することを認めた。また,アニオン態金属に対するMeOAの吸着容量は,エステル化率の上昇に伴って増加した。 さらに,ゲル状のMeOA-Gおよび乾燥後に粉砕した粉末状のMeOA-Pを調製し,以下のような興味深い知見を得た。 MeOA-GはpHおよび金属イオン感受性を示し,pHの変化によって膨潤・収縮すること,また,アニオン態金属が吸着することによっても収縮することを確認した。一方,エステル化処理によってMeOA-Pはの疎水性が向上し,さらに吸着が行われることによって,分散したMeOA-Pは自己凝集を開始し,水相から分離された。MeOA-Pの自己凝集特性とアニオン態金属による被覆率の関係,およびMeOA-GのpHおよびアニオン態金属の吸着による膨潤・収縮の可逆性等については,次年度において検討する予定である。
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