2000 Fiscal Year Annual Research Report
炭化水素類による直接酸化型燃料電池の電極開発と電極反応の分光学的追跡
Project/Area Number |
12650763
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 宏 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30313000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大友 順一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 寄付講座教員 (90322065)
温 慶茹 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (70312999)
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Keywords | 燃料電池 / 固体酸化物型 / 電極表面反応 / 酸素 / ラマン分光 |
Research Abstract |
固体酸化物型燃料電池(SOFC)の場合、従来は電気化学測定によって表面反応の議論を間接的に行ってきたが、より直接的な表面反応の情報を取り出す測定手法の開発が望まれる。本研究では、分光学的な手法を取り入れ、電極表面における各反応種の直接検出手法の確立を目的とし、電解質材料、電極材料のラマン分光法による表面観察を行った。 電解質材料として板状のイットリア安定化ジルコニア(Zr_<0.84>Y_<0.16>O_<1.92>、以下YSZと記す)、およびサマリアドープセリア(Ce_<0.8>Sm_<0.2>O_<0.9>、以下SDCと記す)を購入した。タングステンフィラメントを用いてYSZ基板とSDC基板にAgを蒸着し、電極観測用試料を作製した。石英チャンバー中に試料を固定し、周辺にセットした管状炉で温度制御を行った。試料にCWアルゴンイオンレーザー(波長488nm)を照射し、後方散乱光をCCD検出器で検出した。 Ag/YSZ、Ag/SDC試料の酸化処理前後におけるラマンスペクトルの観測を行った。酸化処理した試料では、Ag/YSZ、Ag/SDC共に957cm^<-1>にピークが観測された。957cm^<-1>のピークはAgの酸化物由来のピークである可能性が高い。既往の研究から、957cm^<-1>のピークはAg=0であると考えられる。また、YSZ上にAgコロイドコーティング膜をつけて、酸化処理をした場合、957cm^<-1>と446cm^<-1>のピークは観測されず、これらのシグナルは表面の形状に強く依存することがわかった。今後は、同位体を用いた測定によりピークの帰属の検討を進めると共に、これらのピークの雰囲気(Ar,O_2,炭化水素類)、温度、および電位に対する依存性を調べ、Ag表面の酸素種の反応性を検討する予定である。
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