2000 Fiscal Year Annual Research Report
熱誘起相分離法による新規なグラディエント構造ポリオレフィン限外ろ過膜の創製
Project/Area Number |
12650768
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
松山 秀人 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (50181798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 泰輔 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (10293987)
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Keywords | 熱誘起相分離法 / 非対称性構造 / ポリプロピレン / 限外ろ過 / スピノーダル分解 |
Research Abstract |
熱誘起相分離法(TIPS法)による多孔膜の作製では、従来はほとんど等方性構造(孔径が膜の断面方向で一定の構造)について検討されてきた。しかし、非対称性構造膜では、孔径の小さい層での選択性を保ったままで高い透過性が得られるため、UFやMF分離膜として望ましい構造と言える。本研究では、TIPS法において溶液に冷却速度勾配を形成させることにより、非対称性構造の形成を行い、その膜のUF分離特性を評価した。また、CDS(cell dynamics system)モデルを用いることにより、スピノーダル分解過程のシミュレーションを行い、非対称構造形成メカニズムの検討を行った。 用いた高分子と溶媒は、isotactic polypropyleneとdiphenyl etherである。厚さ100μmの固体状の高分子/溶媒サンプルをガラスボトルに入れ、サンプルをシール後、融解させるために433Kに熱した。その後、ガラスキャップを取り、溶融溶液の上面のみを所定温度(298K、333K)の水に所定時間浸漬し、片面のみを冷却させた後、ガラスキャップをはめ、室温で全体を冷却させた。相分離を誘起した後、結晶化により固化させた構造体中の溶媒はメタノールで抽出し、メタノールを蒸発させることにより多孔膜を作製した。両表面付近の拡大図より、水冷却面で孔径が小さく、ガラス面で孔径が大きいという非対称性構造が得られたことが確認された。得られた膜の限外ろ過特性を評価したところ、分子量14600のリゾチームについてさえ、0.95以上の阻止率を示した。このことは、得られたポリプロピレン多孔膜が限外ろ過特性を有していることを示している。 CDSモデルによるシミュレーションを行った結果、速い冷却面でskin層が形成され、また遅い冷却面に近づくにつれて孔径が大きくなるという実験で得られた構造と同様な非対称性構造をシミュレートすることができた。
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Research Products
(1 results)