2000 Fiscal Year Annual Research Report
ティッシュエンジニアリングによる肝組織構造体の試験管内再構成
Project/Area Number |
12650784
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上平 正道 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40202022)
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Keywords | ティッシュエンジニアリング / 肝実質細胞 / 肝臓 / 人工臓器 / 組織再生 / 自己組織化 / 組織培養 |
Research Abstract |
以前の研究で、初代肝実質細胞培養において水溶性高分子Eudragit(メタクリル酸とメタクリル酸メチルのコポリマー)を添加すると肝細胞の凝集を促し、その後細胞の自己組織化によってスフェロイドと呼ばれる高肝機能状態に誘導できることを明らかにした。本研究では、肝臓器にみられるのと同様の組織構造体を誘導するために、肝実質細胞以外の肝組織を構成する細胞(肝非実質細胞)を加えて、我々が開発した組織化誘導法による培養を試みた。まず、肝細胞と非実質細胞との共培養での細胞形態および肝機能発現への影響を検討したところ、細胞形態においては、非実質細胞を肝細胞の同数添加した場合までは、スフェロイド形態であったが、それ以上の5倍添加した場合にはスフェロイドは基材に接着してしまった。肝機能では、非実質細胞を添加することよりアルブミン生産裏の上昇が認められ、非実質細胞を肝細胞と同数程度添加した場合に最高値を示し、それ以上添加する細胞数を増加させても、更なる向上は認められなかった。同様の傾向はアンモニア除去能・尿素合成能においても認められた。肝実質細胞・非実質細胞を同数混合して誘導したスフェロイドの組織切片を作製し、非実質細胞の分布を観察したところ、非実質細胞は、肝細胞スフェロイドの表面および内部にランダムに取り込まれていることが分かった。4週間におよぶ長期培養における組織化誘導したヘテロスフェロイドの肝機能発現の経時変化を解析した結果、ヘテロスフェロイドは肝実質細胞のみのスフェロイドやEudragit非添加培養に比べ非常に高いアルブミン生産能、アンモニア除去能、チトクロームP450活性を安定に維持しており、肝臓器と類似の細胞構成による肝組織の部分的な再構成が試験管内で行われたものと考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Yamada,M.Kamihira,S.Iijima: "Self-organization of liver constitutive cells mediated by artificial matrix and improvement of liver functions in long-term culture"Biochemical Engineering Journal. 7(印刷中). (2001)