2000 Fiscal Year Annual Research Report
外部刺激応答性ペプチドホルモンの合成と細胞機能制御への応用
Project/Area Number |
12650788
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
篠原 寛明 岡山大学, 工学部, 助教授 (60178887)
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Keywords | 外部刺激 / ペプチドホルモン / ブラジキニン / PC12細胞 / 細胞内カルシウム / ボオチン / アビジン / 非天然アミノ酸 |
Research Abstract |
神経系モデル細胞としてよく利用されるPC12細胞が、ホルモン様作用ペプチドであるブラジキニン(一次構造はArg-Pro-Pro-Gly-Phe-Ser-Pro-Phe-Arg)の投与により瞬時に細胞内Ca^<2+>濃度が上昇することに着目した。このブラジキニンのN-末端にビオチンを導入したペプチド分子を固相法を用いて合成した。ついでPC12細胞内のCa^<2+>濃度変化を蛍光プローブ試薬をロードして共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡で観察することにより、このビオチン化ブラジキニンが、天然ブラジキニンよりは1桁高いがナノMオーダーの投与でPC12細胞の細胞内Ca^<2+>濃度上昇を誘起できることを明らかにした。さらにこのビオチン化ブラジキニンは、4〜5倍量のビオチン結合性蛋白質アビジンを加え複合体を形成させた上でPC12細胞に投与すると、細胞内Ca^<2+>濃度上昇は引き起こさないことが明かとなった。一方、引き続いてアビジンの8倍程度の遊離ビオチンを添加するとゆっくりとした細胞内Ca^<2+>濃度の増加の観測された。これらの結果は、予期したように、アビジンとビオチン化ブラジキニンが複合体を形成している状態では、その立体障害のため細胞膜上のブラジキニンレセプターに結合できないが、遊離ビオチンの添加によりアビジンに対する交換結合反応がお起こり、ビオチン化ブラジキニンが解離して膜レセプターに結合できるようになったものと考察させた。以上のように特定分子を刺激シグナルとするペプチド生理作用の発現制御が実現できた。 さらに光照射刺激によりコンフォメーション変化を生じる非天然アミノ酸であるL-p-(フェニルアゾ)フェニルアラニンを化学合成し、ブラジキニンの5位あるいは8位のフェニルアラニンの位置に導入したブラジキニンアナログを固相合成してTOF-MASSで同定した。来年度引き続き、その生理作用および光刺激による生理活性の変化の検討を続けていく予定である。
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