2000 Fiscal Year Annual Research Report
加熱殺菌の非定温プロセスにおける微生物耐熱性変動の解析と予測理論の構築
Project/Area Number |
12650793
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
土戸 哲明 関西大学, 工学部, 教授 (50029295)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 吉信 関西大学, 工学部, 専任講師 (40268313)
|
Keywords | 加熱殺菌 / 非定温過程 / 大腸菌 / 耐熱性 / 予測微生物学 |
Research Abstract |
近年、殺菌プロセスの信頼性の高い評価法と加熱加工食品における賞味期限設定の理論的基盤の確立が要求されているが、我々は非定温過程の微生物の耐熱性に及ぼす影響を考慮した新しい理論の構築を目指している。その基礎的な知見を得るため、これまでの研究に引き続いて大腸菌をモデルとし、37℃以上の予備保温での耐熱性を解析した。37℃で培養した大腸菌洗浄細胞をリン酸緩衝液中で0℃から各予備保温温度へ10倍希釈法によって昇温後、各時間試料をとり、それぞれ55℃に100倍希釈法によって加熱後、その生存曲線の死滅速度(D値)を耐熱性の指標とした。その結果、37℃以下の場合に比べて55℃でのD値の上昇速度が大きく、定常値も約80秒と高いことがわかった。耐熱性化反応の速度定数の予備保温温度依存性を見るため、ここで得られた結果と過去の結果を合わせてアレニウスプロットをとったところ、30℃以上で直線となり、その勾配から得られた活性化エネルギーは22.2kJ/moleとなり、30℃以下の103kJ/moleと比べて著しく低くなった。これらの結果は来年度での非定温過程における解析に利用できる。 一方、大腸菌の熱死滅について各加熱温度、pH、添加食塩濃度を変化させて生存曲線をとり、その傾きからD値を求め、2因子間、また全因子間での相関関係式を求めた。TDT曲線からD値の温度依存性を表すZ値を求め、logDとpHおよび食塩濃度との関係を二次式に近似し、それぞれの係数値を決定して予測を可能とした。さらに、線形重回帰分析から、線形3次の予測式を導出した。
|