2000 Fiscal Year Annual Research Report
分析的昇温溶解分別法によるバイオコポリエステルの組成分布の解析
Project/Area Number |
12650798
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
寺町 信哉 工学院大学, 工学部, 教授 (20090574)
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Keywords | 昇温溶解分別法 / 組成分布 / ポリ(3HB-co-3HV) / 生分解性ポリマー |
Research Abstract |
1.本研究の目的は、生分解性ポリマーとして注目されている微生物が産生する立体規則性の脂肪族ポリエステル、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバリレート)[P(3HB-co-3HV)]、などを分析的昇温溶解分別法(分析的TREF)により分別し、その組成分布を微量の試料で解析することが出来るようにすることである。 2.0℃から100℃の間で温度変化のプログラムが可能な分析的TREF装置を製作した。試料として、3HV含率5wt%と12wt%の2種のP(3HB-co-3HV)、溶媒にアセトニトリルを用い、結晶析出のための降温速度と溶解のための昇温速度プログラムを検討した。続いて、適切と考えられる条件下でエバポレイト光散乱検出器によるクロマトグラム様プロファイルを得た。その結果は、多量の主成分のピークから長く裾を引き、さらにより低温部に離れた小ピークを持つもの(5wt%)と、主成分ピークから長く引いた裾の端で小ピークがあるもの(12wt%)で、いずれも幅広い温度範囲のプロファイルを示し、別に決定した分取昇温溶解分別によりこれら試料を分別し、その区分の組成を実測した結果より得られた組成分布と一定的な一致を示した。しかし、同一試料における両方法の結果の対応は良かったが、2つの試料の比較においては、分析的TREFの溶出温度範囲の幅が前者の試料の方が後者の試料よりもかなり広いことと、実測の組成分布の幅が両試料で同程度であることとは良い一致とはいえない。これは、後者の試料では分子量分布と組成分布の相互関連のため、特に融点の低い成分を含んでいることによるものと考えられる。すなわち、分取TREFの結果より前者の試料の高3HV含率の分別区分はその分子量が10^4程度以下と非常に低いのに対し、後者の試料ではどの組成の区分も10^5程度以上の分子量であった。この結果は、分子量と組成分布の相関の強い試料では、分析的TREFにより定量的に意味のある結果を得るのは困難であることを示している。 3.一方、上述の試料を含むいくつかの組成の異なる試料を分取TREFにより分別しその区分の組成を測定し、次年度の研究に用いる試料を用意することが出来た。
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