2000 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学的挿入/脱離反応における酸化物/炭素へテロ接合界面の機能解明と応用展開
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12650804
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
仁科 辰夫 山形大学, 工学部, 助教授 (60172673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 和宏 山形大学, 工学部, 助手 (50241724)
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Keywords | 層状酸化物 / リチウム電池 / 二次電池 / インターカレーション / 不動態皮膜 / 導電助材 / 異種接触界面 / 有機電解液 |
Research Abstract |
Al表面に生成する不動態皮膜の物性が電池特性にどのような影響を与えるのかを検討した。 1.フッ素を含むリチウム二次電池駆動用電解液中で,正極集重体に用いられるアルミニウムは,水溶液系と同じ高電場機構により緻密なバリヤ皮膜を生成し不働態化する。 2.生成した皮膜は水溶液系で生成するAl_2O_3とは異なり,フッ素を含む不定比化合物AlO_<x/2>F_<3-x>と思われる。 3.リチウム二次電池駆動用電解液中の微量水分は,正極集電体に用いられるアルミニウム表面に生成する皮膜の組成や構造に影響を及ぼし,皮膜をより強固にした。その結果,LiBF_4溶液中ではリチウム電池のサイクル特性が向上したが,LiPF_6溶液中では逆にサイクル特性を劣化する結果となった。これは,LiPF_6はLiBF_4よりも水に対して不安定であり,微量の水分により加水分解してHFを生成し,系を強酸性にしてしまう。このHFによってLiMn_2O_4活物質自体が電解液中に腐食・溶解してしまうため,充放電サイクル特性が芳しくなかったものと考えられる。しかしながら,LiBF_4はLiPF_6よりも加水分解しにくく,HFも生成しにくい。このため,有機電解液中に多少の水分が混在していてもLiMn_2O_4活物質自体を腐食・溶解することなく,逆にアルミニウム集電体の不動態皮膜を安定化させるために,適量な水が不純物として存在するほうが充放電特性が向上するものと考えられる。 4.HFを生成せずにアルミニウム集電体の不動態皮膜を安定化させる添加物を積極的に導入すれば,サイクル特性に優れた電池を構成することも可能となろう。すなわち,電解質を分解してHFを生成しないもので,かつ不動態皮膜に対する酸化物イオン供給源となりうるものを添加剤として選択すればよいものと考えられる。その一例としてLiNO_3を電解液に添加したものをテストしてみたが,良好な結果が得られつつある。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 松木健三: "リチウム二次電池の性能評価の標準化"山形大学紀要(工学). 26・1. 25-32 (2000)
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[Publications] 立花和宏: "Impurity Effect i Aluminum Cathode Current Collector on Charging/Discharging Performance of Lithium Secondary Battery"Proceeding of the International Symposium on Lithium Batteries. 99・25. 719-729 (2000)
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[Publications] 立花和宏: "非水電解液を用いたリチウム二次電池"日本国特許庁 特願2001-051689. (2001)
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[Publications] 立花和宏: "リチウム電池駆動電解液中におけるアルミニウムの不働態化(1)-皮膜生成機構-"Electrochemistry. 69(印刷中). (2001)