2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12650811
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
一ノ瀬 暢之 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (00232405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 敏弘 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (90164368)
藤乗 幸子 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (50197844)
真嶋 哲朗 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (00165698)
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Keywords | ラジカルカチオン / イオン対 / 電子移動 / エネルギー移動 / 放射線化学 / 光化学 / 対称性 |
Research Abstract |
D_<3h>あるいはD_<6h>対称性を持つラジカルイオンの蛍光性に及ぼす因子として置換基の効果とJahn-Teller効果の関与について検討した。 電子腺パルスラジオリシスにより1,2-ジクロロエタン中で発生させた3,5-ジメトキシフェノールから誘導される一連の化合物のラジカルカチオンをNd : YAGレーザーの第二高調波(532nm)により励起を行い、蛍光量子収率を測定した。この結果、酸素上の置換基としてアルキル基、アセチル基を導入することにより無輻射失活や電子移動消光により蛍光性が低下することを見出した。また、1-位の酸素原子をアミノ基、ジメチルアミノ基としても蛍光が観測されることを見出した。 1-メチル-2,4,6-トリメトキシベンゼン、1,3,5-トリメトキシベンゼン、ヘキサメトキシベンゼンの1,2-ジクロロエタン中におけるラジカルカチオンの吸収、発光スペクトルを検討するとラジカルカチオンの対称性の順にStokes Shiftが大きくなり、基底状態におけるJahn-Teller効果による分子変形で説明されることを見出した。また、1,3,5-トリメトキシベンゼンラジカルカチオンの吸収、蛍光スペクトルにおけるStokes Shiftの溶媒効果もJahn-Teller効果による分子変形と溶媒和による分子の対称性の崩れで説明できることを見出した。 近赤外領域の発光観測システムについては、フェムト秒レーザーを用いたアップコンバージョン法により近赤外発光を可視光として励起状態の寿命と時間分解蛍光スペクトルを観測する方法を現在開発している。 ラジカルイオンの励起状態における構造変化などの化学過程、励起状態における緩和、脱励起後の緩和過程の観測については、フェムト秒過渡吸収およびナノ秒レーザー/フェムト秒レーザー逐次励起法による過渡吸収測定によって測定するシステムを現在開発している。
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Research Products
(1 results)