2000 Fiscal Year Annual Research Report
準安定酸化物における双極子の秩序化を利用した新機能材料の創製
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12650822
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 勝久 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (80188292)
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Keywords | 磁性半導体 / ナノ結晶 / ファラデー効果 / メスバウアー効果 / ベルデ定数 / ガラス / 光ポーリング / 光第二高調波発生 |
Research Abstract |
今年度はアモルファス固体中に局在化した磁気双極子の観点から磁性半導体のEuSナノ結晶を分散した薄膜を作製してファラデー効果の測定を試み、電気双極子の秩序配列の観点から15Nb_2O_5・85TeO_2ガラスの光ポーリングと光第二高調波発生について検討した。前者では量子閉じ込め効果に起因する振動子強度の増大による大きな磁気光学効果が期待される。EuSナノ結晶分散薄膜のマトリックスにはSi_3N_4を用い、スパッタリング法により成膜した。得られた試料のX線回折、光吸収、ファラデー効果の測定を行った。作製条件に依存して多少の相違はあるものの、EuSナノ結晶が単相で析出する薄膜が得られた。^<151>Euメスバウアー効果測定の結果、ユウロピウムイオンに占めるEu^<2+>の割合は酸化物をマトリックスとした場合と比べて増加することが明らかとなった。得られた薄膜は可視域でEuS結晶に起因するファラデー効果を示し、ベルデ定数の絶対値は600-700nmの波長領域で0.2-0.3deg/cm・Oe(1Oe=10^3/4πA/m)程度となった。これはEuSe単結晶よりも大きな値である。一方、15Nb_2O_5・85TeO_2ガラスの光ポーリングにはNd:YAGパルスレーザー(パルス幅3ns)の基本波(波長1064nm)と第二高調波(波長532nm)を用いた。これらを同時に一定時間照射してガラス内に2次非線形性を書き込み、その後532nmの光を遮断して、ガラスからのSHGを調べた。光ポーリングにより明らかにガラスに2次非線形性が書き込まれ、SHGが観察された。第二高調波強度はポーリング時間とともに単調に増加するが、400sほどのポーリングで飽和する傾向を示した。本研究で用いたガラスの光による2次非線形性誘起機構は現時点では不明であるが、カチオンの価数変化などが考えられる。
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