2000 Fiscal Year Annual Research Report
種々のイオンをドーピングした新規固溶体系単結晶育成とその新規機能性発現
Project/Area Number |
12650823
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今中 信人 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30192503)
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Keywords | 単結晶 / 固溶体 / 希土類 / 固体電解質 / イオン伝導 |
Research Abstract |
これまでにSc_2(WO_4)_3構造を有する一連のタングステン酸塩の粒内のみのイオン伝導特性を調べるため同構造を持つAl_2(WO_4)_3単結晶の育成に成功し、3価イオン伝導性に軸異方性が存在することを明らかにしてきた。イオン半径の異なる複数種の3価イオンを含む固溶体単結晶を得ることができれば格子サイズを変化させたときのAl^<3+>イオン伝導変化を調べ、粒内におけるAl^<3+>イオン伝導特性をより詳細に解明できることから、Al_2(WO_4)_3-Sc_2(WO_4)_3系固溶体単結晶を育成し、そのイオン伝導特性を調べた。 8.3Al_2(WO_4)_3-1.7Sc_2(WO_4)_3固溶体単結晶、Al_2(WO_4)_3単結晶のa、b、c軸方向の導電率およびそれぞれの多結晶の導電率の温度依存性を調べたところ、固溶体単結晶でもAl_2(WO_4)_3単結晶と同様に導電特性に異方性が存在し、b軸方向の導電率が最も高くなることがわかった。一方、活性化エネルギーもb軸が最も小さくなっており、粒内ではAl^<3+>イオンはb軸方向に最も伝導しやすいことが明らかとなった。また、8.3Al_2(WO_4)_3-1.7Sc_2(WO_4)_3固溶体単結晶とAl_2(WO_4)_3単結晶の導電率をa軸、b軸方向で比較すると格子サイズが拡大したにも関わらず固溶体単結晶の導電率はAl_2(WO_4)_3単結晶の導電率と同程度であった。一方、c軸方向では固溶体単結晶の導電率はAl_2(WO_4)_3単結晶の導電率と比較し、600℃では1桁程度高くなった。合成した固溶体の組成では伝導イオン種はAl^<3+>3イオンであり、そのAl^<3+>イオン濃度はAl_2(WO_4)_3単結晶と比較すると約20%少ない。a軸、b軸方向の伝導の場合、固溶体の形成により格子が拡大し、伝導経路が大きくなるためイオン移動度は増大するが、伝導するAl^<3+>イオン濃度が減少したため導電率はAl_2(WO_4)_3単結晶と同程度であったと考えられる。一方、c軸方向ではAl_2(WO_4)_3単結晶の場合a軸、b軸方向に比べc軸方向の伝導経路が狭いことから導電率が大幅に低下したが、固溶体単結晶では格子の拡大によるイオン移動度の増大の効果ががAl^<3+>イオン濃度の減少による効果に比べはるかに大きく、結果として導電率が1桁程度高くなったと考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] N.Imanaka et al.: "Solid Solution Single Crystal Growth of Aluminum Tungstate-Scandium Tungstate System by Modified CZ Method"J.Cryst.Growth. 208. 466-470 (2000)
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[Publications] N.Imanaka et al.: "Single Crystal Growth of Aluminum Tungstate-Lutetium Tungstate Solid Solution by Modified CZ Method"J.Cryst.Growth. 209. 217-219 (2000)
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[Publications] M.Hiraiwa et al.: "Single Crystal Growth of Trivalent Ion Cconducting Aluminum Tungstate-Scandium Tungstate Solid Solution"Solid State Ionics. 136-137. 427-430 (2000)