2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12650825
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
植村 寿子 鹿児島大学, 工学部, 助手 (20041535)
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Keywords | シラス / 資源活用 / 耐熱壁材 / 水熱反応 / トバモライト |
Research Abstract |
南九州一帯に広く賦存し、700億tの埋蔵量が試算され、資源としての活用が期待されている火山堆積物・シラスは主成分比(SiO_2:76%, Al_2O_3:13%, SiO_2/Al_2O_3=9.8)が、耐熱性材料として知られているトバモライト(10CaO・Al_2O_3・10 SiO_2・10H_2O)に近い事から、本研究では、シラスからのトバモライト合成を行った。このトバモライトは現在、珪石や石英等から合成されているが、資源枯渇が心配されだしている。 12年度は、シラスを活性化するためのアルカリ(KOH)が必要と思われたので、シラスとKOH(NaOHではよくなかった)にCa源としてCa(OH)_2、それと水の添加だけで低温前処理(60℃-5h)を経た後に、続いて150℃-3h以上水熱反応させる事で、容易にトバモライトの単一相が得られる事が判り、その有利な合成条件を明らかにして、特許申請を行った。 13年度は、つぎの2つの事を明らかにできた。即ち(1)アルカリを使ったトバモライト生成過程の解明:12年度でトバモライトが得られたが、その際なぜ低温前処理が必要かが解かっていなかった。即ち前処理温度は60℃が最もよく、さらに高くするとトバモライトが全く得られなかった。また前処理時間も5時間が最もよく6.5時間以上では全く得られなかった。この不思議な結果は成分分析で明らかにできた。即ち、アルカリ(KOH)環境下であるため低温前処理で、シラス表面のシロキサン結合の加水分解が起こり(Si-0-SiがSi-OK, HO-Si)、Kが取り込まれる(固相のKが増加)。一方でその表面へのCaの吸着が起こり(固相のCa増加)トバモライト核が生成する。しかし60℃-5h以上の条件(高温、.長時間)ではKは更に増えるが、Caが急激に減少した。これはKの増加がシロキサン結合の加水分解を起こすだけでなく、吸着したCaの溶出をも起こし、トバモライト核の生成を阻害し、また生成した核の溶解をも起こす事を示す。従って核がないのでその後に高温処理(150℃-8h)をしてもトバモライトが全く得られなかったという事が解かった。 (2)アルカリを使わないトバモライトの合成法12年度に得たトバモライトはKOHを使用したので生成物には7-8%のK_2Oが含まれていた。従って13年度はシラスとCa(OH)_2と水だけでKOHを使わずトバモライトの合成を試み、成功した。ここで得られたトバモライトにもK_2Oは1%以下含まれており、これは原料シラスに含まれていたものである。この詳細な合成条件については現在特許申請準備中であり、詳細はまだ明らかにできないが、後日明らかにしたい。
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