2000 Fiscal Year Annual Research Report
新しい多成分膜堆積用MOCVD装置の開発と機能性膜の作製
Project/Area Number |
12650827
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
伊藤 滋 東京理科大学, 理工学部・工業化学科, 教授 (10120164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 孝 東京理科大学, 理工学部・工業化学科, 助手 (10318214)
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Keywords | MOCVD / (Ni,Zn)Fe_2O_4 / 磁気特性 / 組成制御 / 微量添加 |
Research Abstract |
本研究では多成分膜の作製に対して、蒸発容器が1つしかないMOCVD装置を設計、作製した。すなわち、出発原料の鉄、ニッケル、亜鉛アセチルアセトナ錯体をあらかじめ所定組成に混合しておき、これを1つの蒸発容器内で全て気化させて所定組成の混合蒸気とし、この蒸気を膜生成部に供給することにより2成分系のZnFe_2O_4,NiFe_2O_4膜、3成分系の(Ni,Zn)Fe_2O_4膜の作製を試みた。得られた膜について組成の再現性および磁気特性について検討した。現在までに得られた結果の要点は以下の通りである。 (1)本装置は従来の一般的なMOCVD装置と比較し、蒸発容器が1つで、さらにキャリアーガスを用いない点で、装置の簡素化が行えた。 (2)2成分系のZnFe_2O_4,NiFe_2O_4膜の作製に対し、原料混合比と生成膜組成の関係は、1本のなめらかな曲線で結ぶことができ、明確な相関関係が得られた。原料混合比Zn/(Zn+Fe)=0.55,Ni/(Ni+Fe)=0.35において、それぞれ化学量論組成のZnFe_2O_4,NiFe_2O_4膜が得られた。 (3)3成分系の(Ni,Zn)Fe_2O_4膜の作製に対しても、原料混合比と生成膜組成の間には、明確な相関関係が得られ、本方法により様々なNi:Zn比の(Ni,Zn)Fe_2O_4膜を組成の再現性よく得ることに成功した。得られた膜の磁気特性はアニール処理(1000℃,4hr,in air)により向上した(飽和磁化σs=83emu/g,保磁力Hc=50Oe)。 (4)また、さらに成分を増やして4成分とし、CuOを再現性良く微量添加(0.3〜3.0at.%)した(Ni,Zn)Fe_2O_4膜の作製にも成功した。この際、CuOの微量添加により、アニール処理をしなくても磁気特性の向上が行えた。
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Research Products
(1 results)