2000 Fiscal Year Annual Research Report
キラルプロトン源を用いるα-アミノ酸誘導体のエノラートの不斉プロトン化反応
Project/Area Number |
12650832
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柳澤 章 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (60183117)
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Keywords | 不斉プロトン化反応 / キラルプロトン源 / エナンチオ選択性 / エノラート / プロトン化剤 / 2-オキサゾリン / 安息香酸 / アミノ酸誘導体 |
Research Abstract |
エノラート類の不斉プロトン化反応は、光学活性なα-置換カルボニル化合物の効率的合成手法の一つである。本研究はアミノ酸誘導体のエノラートに焦点を絞り、L体(天然型)とD体(非天然型)のアミノ酸をそれぞれ高い光学純度で作り分けることができるようなキラルプロトン源の開発を目的とする。アミノ酸誘導体のエノラートの不斉プロトン化反応の開発にあたり、プロトン化剤についての予備的研究を行った結果、分子内にキラルな2-オキサゾリン基を不斉補助基に持つ安息香酸誘導体がアラニンのメチルエステル誘導体のリチウムエノラートのプロトン化剤として、ある程度効果的であることがわかった。当該年度は、これをさらに実用的かつ一般性ある反応に発展させるために、このプロトン化剤について詳細に検討を行った。まず、プロトン酸部分に関して、安息香酸誘導体に加えて、水酸基を持つキラルベンジルアルコール誘導体についてもスクリーニングを行ったところ、嵩高い二級アルコールの場合にこれまでで最も高い、49%eeのエナンチオ選択性を得た。そこで次に、キラルな2-オキサゾリン基を有するアルコール化合物に着目してさらに検討したところ、テトラヒドロフラン環を基本骨格とする三級のキラルアルコールが、さらに高い不斉誘導を生じることがわかった。このキラルアルコールはtetrahydro-2-furoic acidと光学活性アミノアルコールより、簡単に合成することができる。これらのキラルアルコールをキラルプロトン源とするアミノ酸誘導体のエノラートの不斉プロトン化反応については、次年度も引き続き検討する予定である。
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