2001 Fiscal Year Annual Research Report
ドミノ増幅型の光情報変換機能を有する色素分子の開発
Project/Area Number |
12650834
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
三木 定雄 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (30135537)
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Keywords | 化学増幅 / 連鎖反応 / 光電子移動 / 断熱的過程 / ナフトバレン / クアドリシクラン |
Research Abstract |
平成13年度では、平成12年度の初期検討の結果、すなわち(1)断熱的光異性反応を原理とするものでは、ナフトバレンにについてはカルボニル基以外のクロモフォアを考えるべきであり、(2)光誘起電子移動を原理とするのものでは、クアドリシクランについて、非反応性の電子受容体を用いるべきであることの2つの知見に基づいて研究を展開した。 具体的には、原理(1)に関しては、ナフトバレンの断熱的光異性に関するTurroらの報告の真偽に立ち戻って、母体ナフトバレンの光異性化について、純粋なナフトバレンを合成し、レーザーホトリシスを行ったところ、励起パルスから5nsくらいまでは、ナフトバレンの蛍光が観測され、その後はナフトバレン蛍光は消滅し、ナフタレン蛍光が観測された。すなわち、励起1重項が生成する断熱的過程が伴っていることが解明され、Turroらの結果が必ずしも正しくないことが判明し、分子設計の機構的な端緒を得た。一方、原理(2)に関するものでは、クアドリシクランの電子供与生を増大させるため、フェニル基を有する、トリメチル-フェニル-クアドリシクランを合成し、トリフェニルピリリウムを受容体とする反応系を試みた。この反応系では、効率のよい連鎖反応が進行し、見かけの量子収率が7を越えることが分かった。この知見は、さらなる分子設計に指針を与えるものであり、また、ノルボルナジエン/クアドリシクラン系は、よい光エネルギー貯蔵体でもあるので、貯蔵エネルギーの取りだし過程にも有効な系と考えられる。 以上、平成13年度では、反応系設計への指針が得られたとともに、原理(2)では、具体的な系も見いだされ、研究はほぼ計画どうり進行している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Nakayama: "Photophysics and Photochemistry of Naphthoylnaphthvalene and Photoinduced Valence Isomerization of Highly Strained Aromatic Compounds"Res.Chem.Intermed. 26・4. 327-346 (2000)
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[Publications] T.Nakayama: "Excited-state dynamics for interpretation of the solvent-dependent photochemistry of 9, 10-dichloroanthracene in the presence of 2, 5-dimethyl-2, 4diene"J.Photochem. Photobiol A : Chem.. 133. 11-20 (2000)
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[Publications] T.Nakayama: "A conparison of phtotoinduced intramolecular hydrogen-atom transfer of straine-free planar 1, 4-dimethylanthraquinone with that of sterically strained 1, 4-bindged anthraquinone"Rec.Res.Dev.in Photochem. & Photobil.. (印刷中). (2002)