2000 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素-ジスルフィド系を利用する効率的新規チオールエステル合成法の開発
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12650840
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
園田 昇 関西大学, 工学部, 教授 (20083983)
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Keywords | 一酸化炭素 / セレン触媒 / チオールエステル |
Research Abstract |
チオールエステル誘導体は殺菌剤として、また合化化学原料、または中間体として用いられており、このうちチオール炭酸エステル類は殺菌剤として多用されている。その合成法として、従来、チオール類とホスゲンとの反応が一般的な方法として実施されてきた。しかし、この方法は有毒なホスゲンを使用するための困難のほか、引き続くハロゲン化アルキルとの反応を要し、また反応に際して副生する塩化水素の無害化処理も欠かすことが出来ない等、多くの改善すべき課題を残している。 そこで、本研究はこれまでに申請者らが開発してきたセレン触媒による一酸化炭素の活性化を利用することにより、これらの課題を一挙に解決することを目的として実施した。その結果、この反応系でジスルフィド,アルコール類と一酸化炭素との反応を直接行うことにより、チオール炭酸エステルを一段で合成することに成功した。 次に、具体的例を示す。触媒量のセレンとトリエチルアミン存在下、エタノールとジフェニルジスルフィドとの反応を一酸化炭素加圧下で行うと、S-フェニルカルボノチオレートが良好な収率で得られた。その際、副生生物としてベンゼンチオールの生成が認められた。この方法は、1級アルコールに広く適用でき、また2級アルコールでは収量は多少減じるものの適用できることが分かった。しかし、3級アルコールやフェノール類には適用できないことが明らかにされた。また、反応は室温、25atmで十分進行し、芳香族ジスルフィドの他、脂肪族ジスルフィド類にも一般的に適用できることが分かった。現在、最適条件の確立を目指し、更に検討を進めている。
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