2001 Fiscal Year Annual Research Report
面性不斉をもつシクロファン型キラルジオールの開発と不斉合成反応への活用
Project/Area Number |
12650849
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
浅見 真年 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20134439)
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Keywords | シクロファン / 面性不斉 / 不斉合成反応 / 不斉触媒 / 擬オルトジヒドロキシパラシクロファン / [2.2]パラシクロファン / [3.3]パラシクロファン |
Research Abstract |
不斉合成反応は、光学活性化合物の効率よい入手法として大きな注目を集めている。不斉合成反応の研究において、従来、自然界に比較的多く存在する中心性不斉化合物を不斉源として用いることが多かったが、近年、より優れた不斉反応場を提供する不斉源の設計が活発に行われるようになり、軸性不斉を有する光学活性ビナフトールあるいはその誘導体など、人工的な不斉源も多く用いられるようになった。しかし、それら中心性あるいは軸性不斉化合物に比べ、もう一つの不斉要素である面性不斉化合物を不斉源として用いた不斉合成反応の報告例は少ない。本研究では、面性不斉をもつキラル分子として、擬オルトジヒドロキシ[2.2]パラシクロファンおよび擬オルトジヒドロキシ[3.3]パラシクロファンを合成し、不斉合成反応に活用することを目的とした。まず、擬オルトジヒドロキシ[2.2]パラシクロファンを合成するために、[2.2]パラシクロファンに触媒量の鉄粉存在下、四塩化炭素中2当量の臭素を作用させてジブロモ[2.2]パラシクロファンの混合物を得た。得られた混合物を分離することにより、10%の収率で擬オルトジブロモ[2.2]パラシクロファンが、また19%の収率で擬パラジブロモ[2.2]パラシクロファンが得られた。擬パラジブロモ[2.2]パラシクロファンをトリエチレングリコールジメチルエーテル中、230℃で3時間加熱することにより44%の収率で擬オルトジブロモ[2.2]パラシクロファンが得られた。得られた擬オルトジブロモ[2.2]パラシクロファンに4当量のt-ブチルリチウムを作用させてリチオ化した後、ホウ酸トリメチルおよび過酸化水素水で処理することにより、擬オルトジヒドロキシ[2.2]パラシクロファンが24%の収率で得られた。現在、得られた擬オルトジヒドロキシ[2.2]パラシクロファンの光学分割について検討中である。
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