2000 Fiscal Year Annual Research Report
炭素三員環とシリル基の特性を利用した立体選択的合成反応の開発
Project/Area Number |
12650850
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中島 正 金沢大学, 工学部, 教授 (70019735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 光典 金沢大学, 工学部, 助手 (60242533)
千木 昌人 金沢大学, 工学部, 助教授 (90135046)
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Keywords | シクロプロピルアシルシラン / アルキルアシルシラン / シリルエノールエーテル / β-ケトシラン / シリルオキシラン / 硫黄シクロプロピリド / シクロプロピルケトン / 1,2-カチオノトロピー |
Research Abstract |
シクロプロピルアシルシランおよびアルキルアシルシランの合成的利用に関する研究の一環として、これらから誘導されるアルコールやシリルエノールエーテルの立体選択的骨格変換およびさらなる効率的な分子変換反応について検討した。 アシルシランとジフェニルメチリドまたはエチリドの反応では、シリルエノールエーテルの生成は認められず、β-ケトシランまたはシリルオキシランが生じた。この結果は、既に報告したオキソスルホニウムイリドとの反応結果とは異なる。β-ケトシランの生成は、ベタイン型α-シリルアルコキシド中間体において中性硫黄分子が脱離するとともに、シリル基が隣接炭素ヘアニオニックに1,2-転位したことによる。この結果は、中間体からのスルフィドの脱離が、スルホキシドのそれに比べて、容易であることを示している。また、α-スルフィニルカルバニオン種との反応ではシリルエノールエーテルのみが生じた。これは、β-シリル-β-オキシエチルスルホキシド中間体のオキシアニオン部ヘシリル基が1,2-カチオノトロピーするとともにスルフェナートイオンが脱離したことを示している。 一方、アシルシランと(ジメチルアミノ)フェニルオキソスルホニウムシクロプロピリドとの反応ではシクロプロピリデンシロキシアルカンが単離された。この場合無機塩が存在しない反応系では、さらに脱シリルプロトン化が進行し、対応するシクロプロピルケトンに変換された。また、上記のアシルシラン類と硫黄シクロプロピリドとの反応混合物に直接親電子剤を加え、シクロプロピリデンシロキシアルカンの捕捉を試みた。親電子剤として、臭素、ヨウ素、塩化フェニルスルフェニル、塩化フェニルセレネニルを用いた反応では、炭素三員環に相当する親電子基(E=PhSe,PhS,Br,I)が導入されたシクロプロピルケトンが良好な収率で生じた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shuji Tomoda: "Reversal of π-Facial Diastereoselection in the Hydride Reduction of Selenanones Further Application of the Exterior Frontier Orbital Extension Model."Tetrahedron Letters. 41. 4597-4601 (2000)
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[Publications] Guang Ming Li: "On the Behavior of α,β-Unsaturated Thioaldehydes and Thioketones in the Diels-Alder Reaction."The Journal of Organic Chemistry. 65. 6601-6612 (2000)
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[Publications] Tadashi Nakajima: "Stereoselective Homoallylic Rearrangement of Cyclopropylsilylcarbinols. Formation of Z-Homoallylic Derivatives."Synlett. (発表予定).