2001 Fiscal Year Annual Research Report
ビスチオケテンの環化付加重合による新規π共役高分子の合成とその物性評価
Project/Area Number |
12650865
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中 建介 京都大学, 工学研究科, 助教授 (70227718)
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Keywords | チオケテン / ジチアフルベン / π共役高分子 / 環化付加重合 / チオケテンダイマー / 分子内電荷移動 / ジシラン / 電子供与性 |
Research Abstract |
チオケテンの反応性を利用した新規な含イオウ高分子の合成法を確立し、得られる含イオウ高分子の構造と性質を調べることにより有用な高分子材料の開拓を行うことを目的として研究を行ってきた。そこで、本重合法の適用範囲の拡張と、得られた含イオウ新規π共役高分子の性質を詳細に検討することを目的とし、平成13年度は主鎖中にジチアフルベン構造またはチオケテンダイマー構造を有するπ共役高分子を種々合成し、その特性解析を行った。以下にその成果を示す 電子供与性ユニットと電子受容性ユニットが交互に連なった共役高分子は分子内で電荷移動構造を示すことにより、共役系の拡張が期待できることから、電子不足系芳香族であるピリジン環とジチアフルベン骨格を交互に組み込んだ共役高分子の合成を行った。その結果、分子内で電荷移動により共役系の効果的な拡張が確認された。さらに未ドープ状態における電導度が半導体レベルの値を示した。これは分子内での有効な電荷移動によるものであると考えられた。 ρ-キシレンビス(トリフェニルホスフィニウムクロリド)をモノマーとして用いた環化二量化反応によりチオケテン二量体構造を主鎖中に有する新規含イオウπ共役高分子が得られることを見出した。さらに、チオケテン二量体構造はジチアフルベン構造よりも強い電子供与性であることを初めて確認した。 通常、ジシラン類は電子供与体として働くが、これをチオケテン二量体骨格と結合させることで、電子受容体となることを初めて見出した。これはチオケテン二量体構造が従来のものより極めて強い電子供与体であることを示したものである。次に、ジエチニルジシランから誘導されるビスチオケテンの環化付加重合を行ったところ、ソルバトクロミズムを示す大きな分子内電荷移動バンドに由来する吸収が500nm付近に観測される新規なσ-π共役が高分子を合成し、種々の興味ある性質を見出した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Naka, T.Uemura, Y.Chujo: "Alternating π-Conjugated Copolymer of Dithiafulvene with 2, 2'-Bipyridyl Units"J. Polym. Sci., Polym. Chem.. 39・23. 3593-3603 (2001)
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[Publications] T.Uemura, A.Gelover-Santiago, K.Naka, Y.Chujo: "Synthesis of a π-Conjugated Poly(thioketene dimer) and Its Electron Donating Property"Macromolecules. 34・3. 346-348 (2001)
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[Publications] K.Naka, T.Uemura, Y.Chujo: "Electron Accepting System of Si-Si Bond in Linear Framework by Combination with Strong Donor"J. Am. Chem. Soc.. 123・25. 6209-6210 (2001)
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[Publications] Y.Zhou, H.Itoh, T.Uemura, K.Naka, Y.Chujo: "Preparation of π-conjugated polymer-protected gold nanoparticles as stable colloidal forms"Chem. Commun.. 7. 613-614 (2001)
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[Publications] S.Marathe, T.Uemura, K.Naka, Y.Chujo: "Synthesis and Properties of Oxygen, Methylene and Alkylene Bridged Poly(dithiafulvene)s"J. Polym. Sci., Polym. Chem.. 39・20. 3593-3603 (2001)
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[Publications] K.Naka, T.Uemura, Y.Chujo: "π-Conjugated Poly(dithiafulvene)s and Poly(diselenafulvene)s : Effects of Side Alkyl Chains on Optical, Electrochemical and Conducting Properties"Macromolecules. (印刷中).