2000 Fiscal Year Annual Research Report
複合高速紡糸を利用したミクロ・マクロな繊維構造制御による時限生分解性繊維の作製
Project/Area Number |
12650877
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鞠谷 雄士 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70153046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 浩志 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (20259807)
塩谷 正俊 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (10196363)
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Keywords | 芯鞘型複合繊維 / 溶融紡糸 / ポリ乳酸 / 生分解性 / D体分率 / 配向結晶化 / 複屈折 / 広角X線回折 |
Research Abstract |
本研究では,D体分率の異なる複数のポリ乳酸(PLA)を用い,複合高速紡糸において成分間相互作用を利用して新規な高次構造の制御法を試みるというミクロな視点と,各成分の繊維断面内配置を制御するというマクロな視点を組み合わせることを通じ,生分解により繊維が使用できなくなるまでの時間や,それに至るまでの物性変化の挙動を高度に制御した生分解性複合繊維を作製することを目的とした.具体的には,D体分率の異なる3種類のポリ乳酸(PLA)の高速溶融紡糸を行い,紡糸線上での直径を測定し,また得られた繊維の構造と物性について検討した.最高巻取速度が10km/minまで到達したことから,PLAは非常に可紡性がよいことが分かった.複屈折,WAXDおよびDSC測定の結果より,低分率D体PLAは高速域5km/minで配向結晶化が起こり,D体分率の増加に伴い結晶化度は低下することが明らかになった.紡糸線上での細化曲線から,ネック状変形にともなう固化点の位置が約5km/min以上で紡糸口に近づくことが明らかになり,高い温度で結晶化が起こるのに対して,D体分率の増加に伴い結晶化が起こりにくくなることを意味している.繊維の初期弾性率および強度は,巻取速度10km/minの低分率D体PLAで,それぞれ5.93GPaおよび569MPaと最高値を示した. さらに,高速溶融紡糸によってD体分率の異なるPLAの極細繊維を作製し,その構造・物性について通常の繊度の繊維と比較検討した.極細繊維の最小直径は3.47μmとなり,通常の繊維直径の約1/7を有する極細繊維が得られた.複屈折,DSC測定および力学特性の結果より,極細化すなわち吐出量の低下に伴い,繊維構造形成は促進されるのに対して,最高巻取速度は低下することが明らかになった.一方,低吐出量にした場合,DSC測定結果では高結晶化度になるのに対して,広角X線回折(WAXD)の結果では弱い結晶反射が得られた.紡糸理論に基づくと低吐出量になるほど同じ巻取速度で比較すると高結晶化になると予測されるが,WAXDの結果はこれに相反することから今後の検討課題である.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Takasaki: "Structure development of polylactides with various D-lactide content in the High-speed Melt Spinning"Proceedings of Polymer Processing Society 17^<th> Annual Meeting. (In Press). (2001)
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[Publications] E.Giza: "Structural Control of Polyamide 6/ Clay Nanocomposite Fibers by In-line Drawing Process"J.Polym.Eng.. 20(6). 403-425 (2000)
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[Publications] 占部宏生: "ポリプロピレンの高速溶融紡糸過程における分子配向形成のオンライン計測"成形加工. 12(11). 729-735 (2000)
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[Publications] E.Giza: "Fiber Structure Formation in High-speed Melt Spinning of Polyamide 6/ Clay Hybrid Nanocomposite "J.Macromol.Sci.,Phys.. B39(4). 545-559 (2000)