2000 Fiscal Year Annual Research Report
揮発性有機化合物除去用高分子膜の創製と膜特性との関係の解析に関する研究
Project/Area Number |
12650892
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
浦上 忠 関西大学, 工学部, 教授 (80067701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 隆志 関西大学, 工学部, 助教授 (50239414)
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Keywords | アルキルメタクリレート / ジメチルシロキサンマクロモノマー / グラフト共重合体膜 / 希薄炭化水素水溶液 / 炭化水素選択透過性 / 透過分離機構 / ミクロ相分離構造 / モルホロジー |
Research Abstract |
浸透気化法や気化浸透法などに用いる水中に溶存している芳香族炭化水素やハロゲン化炭化水素を選択的に透過除去する高分子膜材料として,アルキルメタクリレートとジメチルシロキサンマクロモノマー(DMS)とのグラフト共重合体を合成した。メチルメタクリレートやエチルメタクリレートから得たPMMA-g-PDMSとPEMA-g-PDMSのグラフト共重合体は,DSC分析の結果,ミクロ相分離構造を示す2つのガラス転移点を有していたが,ブチルメタクリレートからのPBMA-g-PDMSでは,ミクロ相分離構造は観察されなかった。これらの3種のグラフト共重合体膜を用い,希薄ベンゼン水溶液と希薄四塩化炭素水溶液の透過分離特性をDMS含有率を変え測定した結果,PMMA-g-PDMS膜とPEMA-g-PDMS膜では,ベンゼンや四塩化炭素の選択透過性を示し,これらの選択透過性はDMS含有率の特定量のところで著しく向上した。一方,PBMA-g-PDMS膜もベンゼンや四塩化炭素を選択的に透過するが,これらの選択性はDMS含有量の増加と共に単調に増加していた。明らかにPMMA-g-PDMS膜やPEMA-g-PDMS膜とPBMA-g-PDMS膜との選択透過性の機構が異なることが暗示され,その相違を明らかにするため,膜の表面性質,膜内組成,膜の膨潤性,膜密度,膜内部構造などを測定した結果,炭化水素類の膜内への溶解と膜中での拡散の両因子が選択透過性に深く関係しており,特にグラフト共重合体膜のミクロ相分離構造のモルフォロジーが重要に関与していることが明らかになりつつある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Miyata,T.Uragami: "Relationship between fractal microphase separation and permselectivity of block copolymer membranes containing poly (dimethylsiloxane)"J.Polym.Sai.: Part B : Polym.Phys.. 38. 584-589 (2000)
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[Publications] 浦上忠,宮田隆志: "抗原-抗体結合を利用する可逆性ヒドロゲルインテリジェント材料などの機能性高分子としての応用の可能性"化学と生物. 38・7. 427-429 (2000)
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[Publications] 宮田隆志,浦上忠: "多成分系高分子における相分離構造の新しい評価方法"日本接着学会誌. 36・7. 279-286 (2000)
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[Publications] 浦上忠: "水中の環境ホルモンを選択的に除去する高分子膜"工業材料. 48・10. 94-102 (2000)
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[Publications] 浦上忠: "内分泌攪乱物質を選択的に透過する高分子膜の開発"機能材料. 20・10. 58-65 (2000)
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[Publications] 浦上忠,宮田隆志: "新規な抗原応答性高分子ヒドロゲルの調製とその物質透過制御機能"高分子加工. 49・12. 530-536 (2000)