2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12650918
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
平田 篤夫 崇城大学, 工学部, 教授 (20279376)
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Keywords | 岩盤調査 / 損傷領域 / 緩み領域 / 弾性波検層 / PS検層 |
Research Abstract |
岩盤損傷領域評価システムの高精度化を図るうえで、その適用性を評価することは重要である。本システムは本来トンネル掘削における周囲岩盤の損傷程度を評価しながら最適掘削を行うことを目的として開発された。しかし、弾性波検層が簡便に実施できることはトンネルの施工管理以外の場面でも、適用が可能であることは自明であるので、トンネル以外の岩盤調査にも適用することを念頭において本年度の研究を行った。 まず、トンネル掘進時の周囲岩盤挙動を調査する目的で本システムを使って原位置弾性波検層を実施した。下半掘削の影響で周囲岩盤のP波速度の低下が促されるなど、岩盤掘削の影響がP波速度変化として鋭敏に反映されることを明らかにした。この測定は実工事を行いながらの作業であり、測定時間に制約を受けながらも短時間で所要の測定を完了した。実用的にも簡便な作業で精度の高い結果を得ることができることを示した。この成果は平成12年資源素材学会春季講演会およびトンネルシンポジウムin九州において口頭発表した。 つぎに、岩盤斜面の安定性評価に適用する試みを行った。石灰石鉱山では掘削後の残壁の安全管理がこれからの大きな課題となってきている。プレスプリッティング発破を行うことにより残壁表面岩盤を平滑に、かつ損傷を抑制しながら掘削することが一般に行われているが、残壁内部の状態を確認することは稀である。そこで、3ヶ所の石灰石鉱山で残壁岩盤に対する弾性波検層調査を実施した。残壁表面から最大15mの深度まで発破掘削の影響で損傷を受けている領域、すなわち、P波速度の低下領域が存在することが判明した。従来、残壁にはこのような領域は存在しない前提で安定解析を実施してきているので、さらに大斜面化が進むことを考慮すると残壁表面の損傷状態を配慮した安定化策を講じる必要が望まれる。この成果は第21回西日本岩盤工学シンポジウムと土木学会全国大会において口頭で発表した。 上記2つの成果をまとめて、土木学会西部支部平成12年度技術発表会に口頭発表するとともに、オーストラリア(メルボルン)で開催された国際会議で発表した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 平田篤夫,笹尾春夫,山添雅彦,金子勝比古: "トンネル掘進にともなう周囲岩盤の弾性波測定"資源素材学会春季大会講演集. I-資源編. 79-80 (2000)
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[Publications] 山添雅彦,笹尾春夫,金子勝比古,平田篤夫: "小型弾性波検層システムの開発と適用実験"第21回西日本岩盤工学シンポジウム論文集. 119-124 (2000)
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[Publications] 平田篤夫,笹尾春夫,山添雅彦,金子勝比古: "トンネル周囲岩盤に対する弾性波検層調査"土木学会第55回年次学術講演会概要集. CD-ROM CS-082. (2000)
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[Publications] Hirata,A.,H.Sasao,M.Yamazoe,Y.Obara and K.Kaneko: "Compact vertical seismic profiling system and its application in underground excavation"CD-ROM of Int.Conf.on Geotech. and Geological Eng.,GeoEng2000. \Geoeng2000\papers\G\G0736. (2000)
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[Publications] 笹尾春夫,平田篤夫,山添雅彦,川原茂樹,中村直昭,金子勝比古: "小型弾性波検層システムの開発と岩盤掘削における計測事例"九州アジア地区トンネル研究会主催、トンネルシンポジウムin九州講演論文集. 113-118 (2001)
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[Publications] 山添雅彦,笹尾春夫,川原茂樹,平田篤夫: "岩盤構造物評価における簡易弾性波検層システムの適用性"土木学会西部支部平成12年度技術発表会論文集. 30-35 (2001)