2001 Fiscal Year Annual Research Report
イネ科植物における二遺伝子座型自家不和合性の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
12660005
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
掛田 克行 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (50221867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 亨 三重大学, 生物資源学部, 助手 (30293806)
神山 康夫 三重大学, 生物資源学部, 教授 (80024579)
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Keywords | 自家不和合性 / S遺伝子 / Z遺伝子 / AFLP / mRNA fingerprinting / オオムギ / RFLP / 細胞間認識 |
Research Abstract |
1.オオムギ野生種Hordeum bulbosumの自家不和合性遺伝子(SおよびZ遺伝子)転写産物の探索 3種類のS遺伝子型(S_<1.2>、S_<1.3>、S_<2.3>)とZ遺伝子型(Z_<1.2>、Z_<1.3>、Z_<2.3>)について、それぞれ数個体の葯および雌ずいから調製したmRNAを用いてAMF(AFLP-based mRNA fingerprinting)分析を行った。各遺伝子型に特異的に検出されたDNA断片のRFLP分析の結果、SおよびZ遺伝子座に密接に連鎖しているクローンがそれぞれ7種類および1種類得られた。現在これらのクローンについて、SまたはZ遺伝子座との詳細な位置関係、ならびに塩基配列の多型性および発現特異性について調査を進めている。 2.チオレドキシン様(HTL)遺伝子の塩基配列を用いたHordeum属植物の分子系統学的解析 H.bulbosumのS遺伝子座に密接に連鎖しているHTL遺伝子の塩基配列を用いて、Hordeum属植物11種の系統解析を行ったところ、4つの基本ゲノムの明らかな分化が認められること、XゲノムとIゲノムは姉妹群を形成すること、YゲノムはX/Iゲノム群と比べるとHゲノムにより近縁であることが明らかとなった。 3.H.bulbosum自家和合性突然変異体の誘発 γ線照射花粉の受粉によって得られた自殖種子(4粒)から個体を育成し、受粉試験を行った。いずれの個体も生殖器官の異常は認められなかったが、自家不和合性であったことから、自家不和合性関連遺伝子には突然変異は生じていないと考えられた。 4.H.bulbosumにおける形質転換系の開発 栽培オオムギで報告されている未熟胚へのアグロバクテリウム感染処理による形質転換法をもとに、H.bulbosumにおいて種々の培養条件を検討したが、抗生物質耐性カルスからの形質転換植物の再分化は認められなかった。形質転換の成否に関わる要因を再検討した結果、未熟胚を摘出する植物体の生育条件(人工気象室内で比較的低温条件で開花させる)、ならびにアグロバクテリウムの菌株を変更する必要があると考えられた。
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Research Products
(2 results)