2001 Fiscal Year Annual Research Report
イネ穎果の登熟における植物ホルモンと炭水化物の役割
Project/Area Number |
12660010
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 貞二 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70155844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 孝幸 東北大学, 農学部, 教務職員 (80241553)
後藤 雄佐 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (80122919)
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Keywords | イネ / 強勢な穎果 / 弱勢な頴果 / 登熟 / 初期生長 / 剪葉 / 胚乳細胞数 / 品種 |
Research Abstract |
野生稲を含めた十数品種を用い,24/19(昼/夜)℃のファイトトロン内でポット栽培した.出穂期直前に50%の剪葉処理を行い,穎果の初期生長を透視法により開花日から連日観察した.また,主に出穂10週後に穂のサンプリングを行い登熟め各形質を調査した. 剪葉により,ほとんどの品種の弱勢な穎果の開花から穎果の幅が籾殻の半分に達するまでの初期生長が遅延したことから,この時期における生長の遅延は,イネに見られる一般的現象であることが明らかとなった.しかし,その程度は品種により異なり,概して多収性として育成された品種の方が遅延程度が少ない傾向が見られた.品種間の粒重の差が小さいこともあって,一穂当たりの収量は,一穂穎花数が大きい品種ほど多く,剪葉により減少したが,その減少程度は弱勢な穎果の初期生長の遅延が大きいほど大であった.また,弱勢な穎果の剪葉による初期生長の遅延程度と登熟歩合の間には強い負の相関関係が認められた.さらに,剪葉による登熟歩合の悪化程度が大きかっための,主に穂の下部に着生する弱勢な穎果であった.また,弱勢な穎果の初期生長の遅延は炭水化物供給が減少して起こるのではないこと,弱勢な穎果の登熟の悪化は胚乳細胞数すなわちsinkサイズの減少によることが明らかとなった. 以上より、剪勇葉などのsource/sink比が低いような条件下でも弱勢な穎果が速い初期生長を示す品種,すなわち不良環境下でも一穂内の穎果が一斉に登熟する(登熟の速い)品種の方が,収量の減少が少なく安定していること.さらに穎果の初期生長の品種間差にはホルモーナルな要因(今までの研究結果からはおそらくアブシジン酸)が関係することが示唆された.
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Research Products
(1 results)