ミニマム施肥条件下における安定高収量栽培をめざした作物要因の解析

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12660013
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 山岸 順子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60191219)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 中元 朋実 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50180419)
• Keywords: オオムギ / コムギ / 堆厩肥 / 化成肥料 / 土壌肥沃度 / 品種 / 収量 / 窒素吸収量

Research Abstract

本学大学院農学生命科学研究科附属農場において、過去6年間にわたりトウモロコシとオオムギの1年2作を行っている圃場で試験を開始した。この圃場は3ブロックからなり、化成肥料施用のみで慣行施肥量のブロック(普通区)とその1/2であるブロック(1/2区)計2つと堆厩肥施用のみの1ブロック(堆厩肥区)である。2000年6月収穫のオオムギ(品種ドリルムギ)においては、これらのブロックのうち、1/2区を除き倒伏程度4で全面倒伏が認められ、その結果、ドリルムギの場合には、土壌条件が良好でない圃場でかつ低施肥栽培条件下で能力を発揮することが推察された。2000年11月には多品種(コムギ7系統、オオムギ9系統)を本圃場に播種し、成育調査を行った。2001年6月収穫においては、普通区のコムギ全系統で倒伏が認められ、堆肥区においても1系統を除くコムギ全系統およびオオムギにおいてもドリルムギと極短桿2系統を除いて倒伏した。倒伏の起こる原因に関しては従来言われている茎長、穂重あるいは単位茎長あたり茎重等で説明できないものも多い。たとえば、堆肥区は土壌肥沃度が高いが化学肥料は投入していないにもかかわらず多くの倒伏が認められたが、茎長は1/2区に比較して低くなる系統の方が多い。したがってこのことはムギに緩効性の肥料を使用することの難しさを示唆している。倒伏の認められなかった系統の中では、普通区で最も収量が多くなった系統と施肥条件と収量の間に関係の認められない系統があり、後者の方がミニマム施肥条件に適していると考えられた。2001年11月には施肥量を前年の70%としてコムギ4系統、オオムギ6系統を播種し、ミニマム施肥条件に適した作物要因をさらに解析する予定としている。