2000 Fiscal Year Annual Research Report
雌雄異株園芸作物の組織培養による繁殖過程でおこる間性個体の出現に関する研究
Project/Area Number |
12660018
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
増田 清 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60157203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 卓 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30196836)
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Keywords | 雌雄性 / アスパラガス / ホウレンソウ / 組織培養 / 超雄性 |
Research Abstract |
交配により着生した種子がすべて雄性となる雄性親系統は超雄株と呼ばれ,アスパラガスでは種子生産の花粉親として利用されてきた。一方,ホウレンソウでは栽培上,雌株の有用性が指摘されてきたが,雌性個体のみを作出する技術はまだ確立されていない。本年度は,アスパラガスの超雄系統を効率良く作出すること,ホウレンソウの雌性個体を効率良く作出すること,および,これらの植物における性表現の仕組みを明らかにすることを目的として次の研究を行った。 栄養繁殖によって維持されているアスパラガス雄性株'#873ハ',市販'メリーワシントン500W'の雄性株および雌性株を用い,生殖器官の発生にともなう形態変化を調査した。アスパラガスの雄花は両性花として発生し,胚珠は性表現とともに死滅する。事実,'メリーワシントン500W'の雌性株成熟花の子房には発達した胚珠が確認されたが,雄性株に着生した雄花の胚珠は,花の成熟とともに発育不全を起こし,死滅していた。しかし,両性花を着生する雄性系統'#873ハ'では,一部の花に,成熟した後も胚珠と胚嚢様の構造が確認された。雄性花の子房と花柱の大きさや形状は品種や系統によって違いが見られたが,同一株のなかでの変異を見たところ,'#873ハ'に着生した花は,"メリーワシントン500W'の雄性株および雌性株に着生した花に比べ変異が大きいことが明かとなった。 一方,ホウレンソウは,'次郎丸'および'日本'を用い,根組織の培養によって植物体を得た。植物体は数か月後にin vitroで花を着生したので,その形態を調べ再生した植物体の雌雄性を判定した。現在,間性株が出現する頻度,環境との関連性,間性個体を効率的に作出する方法などを検討し,あわせて性表現にともなういくつかの酵素の活性変動を調べている。
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