2001 Fiscal Year Annual Research Report
ブドウ果粒の発育に関連するジベレリンの同定とそれらを利用した無核化技術の開発
Project/Area Number |
12660019
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松井 弘之 千葉大学, 園芸学部, 教授 (90081546)
|
Keywords | 無核化 / ブドウ / キャンベル・アーリー / デラウェア / 甲州 / GA_3 / GA_4 / GA_7 |
Research Abstract |
GA_3処理により全てのブドウ品種を無核化できない原因を内生 GAsとの関係から明らかにするため、昨年度はGA_3処理により無核化し易い'キャンベル・アーリー'、中間の'デラウェア'および困難な'甲州'の3品種の種子中のGAsの量的・質的違いについて調査した。その結果、いずれの品種においてもHPLC画分番号13〜17(I)、22〜25(II)、26〜27(III)に強いGAs活性が認められた。しかし、品種によって各画分の活性の強さが異なり、総活性では'キャンベル・アーリー'、'デラウェア'、'甲州'の順に強かった。また、'キャンベル・アーリー'のIII画分中の主要GAsはGA_4とGA_7であることを明らかにした。そこで、本年度はGA_3、GA_4およびGA_7を開花前後の2回処理(100ppm)し、無核化に及ぼす影響を3品種間で比較した。その結果、'キャンベル・アーリー'では、GA_7(無核化率96%)>GA_3(71%)>GA_4(66%)、'デラウェア'ではGA_7(99%)>GA_4(97%)>GA_3(94%)、'甲州'ではGA_3(28%)>GA_7(16%)>GA_4(13%)の順に無核化率が高かった。しかし、無核化率から判断して、実際栽培で使用可能なGAsは'キャンベル・アーリー'ではGA_7、'デラウェア'ではGA_3、GA_4、GA_7であったが、'甲州'ではいずれのGAsでも無核化率が著しく低かった。この原因を各GAsで処理した小果の開花期の花粉の発芽率から調べてみると、'キャンベル・アーリー'や'デラウェア'ではいずれのGAsでも0.2〜0.8%と著しく抑制されたが、'甲州'では、GA_3で5.4%、GA_4で7.7%、GA_7で13.3%と抑制割合が低かった。このことから、'甲州'がGA_3、GA_4やGA_7で無核化できない一つの原因は、これらのGAsが花粉の発芽率を抑制する効果が低いためであると推察された。したがって、他のGAsすなわち昨年度の調査で明らかになったIおよびII画分のGAsの種類と無核化に対する効果を調査する必要があると考えられた。
|
Research Products
(1 results)