2002 Fiscal Year Annual Research Report
花卉種苗の簡便なin vitro生産とウイルス無毒化
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12660024
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
梁川 正 京都教育大学, 教育学部, 教授 (50133137)
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Keywords | 花卉 / 種苗生産 / 簡便化 / in vitro培養 / ウイルス無毒化 / 塩素殺菌剤 |
Research Abstract |
1.花卉種苗のin vitro生産の簡便化の検討として、前年度までの結果から、培地に直接加用処理する殺菌剤の種類と濃度が明らかとなり、それに基づき、熱に弱い種々のプラスチック容器のうち、ポリスチレン容器、ポリ塩化ビニル容器、ポリエチレン袋を用いて、殺菌剤によりオートクレーブを行わずに滅菌培地を作成でき、これらの培地に幼苗を培養できることが確かめられた。こうした培地や殺菌剤を利用した非無菌条件下での植えつけ法をin vitroでの種苗生産のどの過程に適応できるかについては、非無菌の材料を滅菌して増殖、育成する培養を行う場合には、汚染する頻度が高まるので難しいが、無菌の植物体を分割移植して増殖、育成する場合に容易に適応でき、きわめて実用的な方法になることが確かめられた。 2.ウイルス無毒化の簡便化の検討では、カーネーションやシンビジウムなどを用いて、通常の無菌下、解剖顕微鏡を用いて採取する葉原基2枚の茎頂切片の他、葉原基を多くつけて大きくした茎頂切片を無菌条件下で採取するだけでなく、非無菌の条件下で顕微鏡を用いずに採取し、それらの茎頂切片の培養を行って、得られた幼苗の増殖、生育の様相を比較し、ウイルス感染の有無を調査した結果、カーネーションでは4枚または6枚の大きな茎頂切片を非無菌条件下で採取した場合でも、CaMoVが検出されない幼苗が多くみられた。シンビジウムでも茎頂培養によって得られたPLBをさらに培養して増殖するごとにCyMVの検出頻度は低下し、また、コチョウランのように茎頂培養ができない種類でも、花茎えき芽培養と葉片培養によって得られたPLBにはCyMVが非検出でいずれも薬害も認められず、簡便にウイルス無毒化できる方法が見出された。今後は、この簡便なin Vitro生産の方法を、他の花卉や野菜についても検討して、優良系統種苗のin vitro増殖、in vitro生産ならびにウイルス無毒化に貢献していきたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 梁川正, 山本絵美, 前口良太郎: "殺菌剤によるプラスチック容器を用いた簡便な無菌培養法によるラン類の増殖"フラワードーム2003記録本. (印刷中). (2003)
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[Publications] 梁川正, 西山杏奈, 山本絵美, 前口良太郎: "ラン類の殺菌剤を用いた簡便な無菌培養法による増殖とin vitro保存"園芸学会雑誌. 71・別冊2. 525 (2002)