2000 Fiscal Year Annual Research Report
園芸作物の鮮度保持に関する基礎的研究(園芸作物の老化・脱緑に対する生理・生化学・分子生物学的アプローチ)
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12660030
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
下川 敬之 宮崎大学, 農学部, 教授 (80027185)
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Keywords | エチレン / 脱緑・黄化 / Chlorophyllase / ビリルビン / フリーラジカル種消去能 / 抗酸化物質 / アポトーシス抑制遺伝子 |
Research Abstract |
園芸作物・果実果皮のエチレン誘導-脱緑・黄化(クロロフィル代謝)に関与する酵素類の単離・精製を行った.クロロフィル(Chl)代謝のType I反応に関与する酵素であるChlorophyllaseとC-13^2-カルボキシルピロフェオフォルビドaを生成する酵素(CPFE)はカルボキシルエステラーゼである.ウンシュウミカン果皮のChlorophyllase以外に新たにCPFEを精製した.さらに,エチレン処理-ブロッコリー花らいからもCPFEの単離・精製を行った.花らいのCPFEは,5ステップの精製過程で約400倍以上にまで精製され,SDS-PAGEにより分子量は約29kDaであった.また,それぞれのCPFEの酵素化学的特性を明らかにした. Chl代謝の「Key」酵素であるChlorophyllase遺伝子をウンシュウミカン果皮・トマト果皮・カイワレダイコン子葉・シロイヌナズナ葉・ピーマン果皮より単離した.また,Chl-サイクルに関与する酵素としてのChl bリダクターゼ遺伝子の存在をディファレンシャル・デイスプレイ(D.D)法によりシロイヌナズナ葉・トマト果皮を用いて明らかにした. ノーザンハイブリダイゼーション法・RT-PCR法により,エチレン誘導-ウンシュウミカン果皮Chlorophyllase遺伝子(Cu-CHL)の生理機能の解析を行った.脱緑(Chl代謝)の認められない初期段階(エチレン処理期間中)に遺伝子の発現とさらに酵素活性の劇的な増大が確認された.また,エステラーゼの活性作用に必須と考えられる遺伝子配列中のp-ループモチーフを含むように設計したプライマーによりRT-PCRを行ったところ,特異的なDNA断片がエチレン処理により誘導生成されることを明らかにした. Chl代謝過程にはヘム代謝開環産物のビリルビン(BR,酸化ストレスにより誘導される抗酸化物質)様-Chl代謝開環産物が生成することを抗BR-モノクローナル抗体で確認し,ESR解析によりBR様-Chl代謝開環産物のフリーラジカル種消去機能を明らかにし,また,抗酸化物質含有量/生成量の低い変異体トマト果実では,高酸化ストレスの条件下において,一過性のBR様-Chl代謝開環産物の誘導生成を起こし,その後,bc1-2(アポトーシス抑制遺伝子)様遺伝子のmRNA発現量の増大を確認した.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Masaru ADACHI et al.,: "Formation of bilirubin-like compound by the ethylene-induced peroxidase isozymes in banana peel."Plant Peroxidase Newsletter. 14. 69-77 (2000)
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[Publications] 高橋芳弘 ら: "エチレン処理したウンシュウミカン(Citrus unshiu Marc.)果皮におけるクロロフィル代謝:クロロフィルa酸化分解酵素について"園芸学会雑誌. 69・5. 641-645 (2000)
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[Publications] 山元洋幸 ら: "ブロッコリー(Brassica oleracea L.)花蕾におけるピロフェオフォルビドa開環酵素"園芸学会雑誌. 70・1. 115-120 (2001)
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[Publications] 高橋芳弘 ら: "ブロッコリー(Brassica oleracea L.)花蕾におけるクロロフィル代謝:Mg・デキレターゼの関与"園芸学会雑誌. 70・1. 121-125 (2001)
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[Publications] Masaru ADACHI et al.,: "The mechanism of chlorophyll catabolism in Arabidopsis thaliana."Fusii ; In proceeding on Nancy 2000 : International workshop on environmental and metabolic biochemistry of plants and microorganisms.. 7(in press). (2001)
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[Publications] Rie AZUMA et al.,: "The mechanism of chlorophyll catabolism in Citrus unshiu fruit."Fusii ; In proceeding on Nancy 2000 : International workshop on environmental and metabolic biochemistry of plants and microorganisms.. 7(in press). (2001)