2000 Fiscal Year Annual Research Report
分子間および分子内コピグメンテーションによる青花変異作出のための基礎研究
Project/Area Number |
12660036
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Research Institution | Minami Kyusyu University |
Principal Investigator |
土岐 健次郎 南九州大学, 園芸学部, 教授 (40091384)
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Keywords | 花色素 / アントシアニン / 分子間コピグメンテーション / 分子内コピグメンテーション / エラグ酸配糖体 / サルスベリ / ブロワリア / シネラリア |
Research Abstract |
シアニック系サルスベリの花色は赤から紫まで変異するが、いずれも含有する主要アントシアニンはデルフィニジン(Dp)、ペチュニジン(Pt)、マルビジン(Mv)の3-グルコシド(3G)である。これらの花色に対して最も影響の大きいファクターはアントシアニン含量に対するエラグ酸配糖体の量比であり、比率が高いほど青みが強くなる。サルスベリの主要なエラグ酸配糖体は2種類観察されたが、ひとつはエラグ酸5′-グルコシド(EA5′G)であった。Dp3GおよびMv3GとEA5′Gをそれぞれ混合すると明白な分子間コピグメンテーションが観察された。この効果はDp3GよりもMv3Gの方が大きい。またマイナーアントシアニンのひとつはMv3,5-ジグルコシド(Mv3G5G)であった。以上の結果から、現段階ではサルスベリの青花育成にはMv3GとEA5′Gの組み合わせを追究することが考えられる。なおMv3G5Gとエラグ酸との相互作用については未着手である。 ブロワリアの紫、青紫、紫青の3品種の主要アントシアニンは、いずれもDp3-ルチノシド-5-グルコシドにパラクマール酸とカフェ酸それぞれ1分子結合した色素(新化合物)であった。この色素に対するフェノール性有機酸(未同定)の量比が高いほど青みが強くなることが判明した。またシネラリン(Dp配糖体と3分子のカフェ酸との複合体)を主成分とする青紫系シネラリアは、紫から紫青まで変異する。この変異はフラボン・フラボノールとシネラリンの量比によって決定されることが判明した。すなわち、ブロワリアとシネラリアの場合、分子内及び分子間コピグメンテーションの複合効果による花色発現である可能性が強い。
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