2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12660038
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐野 輝男 弘前大学, 農学生命科学部, 助教授 (30142699)
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Keywords | ウイロイド / 宿主適応 / DNAシャッフリング / ランダム変異 / 優占的選抜 |
Research Abstract |
自然界に存在するあらゆる病原体には宿主特異性が存在する。ウイロイドはRNA病原体であり、400個に満たない塩基配列或いは分子構造中に、ある特定の生物種を宿主とするか否かの情報が存在すると考えられ、RNA分子のどこが宿主決定因子になるかを解析するためのモデル実験系として適した材料である。ホップ矮化ウイロイド(HSVd)は自然界の様々な宿主に感染しており、各々特徴ある変異を持つ変異体が分離される。ウイロイドの変異と宿主適応の関わりを明らかにするため、自然界に存在する変異を様々に組合わせた変異体集団を作成し、各宿主植物中でどのように選抜され適応して行くかを実験的に解析した。 昨年度、自然界に存在するHSVdのブドウ、カンキツ、スモモ(モモ)変異株の感染性cDNAからランダムDNAシャッフリングにより各々に特徴的な変異をランダムに組合わせた変異体集団を作成した。これをHSVdの自然宿主であるキュウリ、ブドウ、モモ、カンキツ、ホップ、及び非宿主であるシロイヌナズナに接種した。接種後定期的に茎葉を採集して核酸抽出し、接種個体毎に感染を確認し、感染個体中で増殖してきた子孫ウイロイドの塩基配列を解析した。 その結果、今年度は多数の接種個体で感染が確認され、キュウリが最も高い感受性を示しブドウ変異体と同じもの或いはブドウ/カンキツ-キメラ変異体が選抜され増殖していた。また、ブドウではブドウ変異体と同じもののみが、モモではブドウ変異体と同じもの或いはブドウ/カンキツ/スモモ(モモ)-キメラ変異体が選抜され増殖していた。即ち、一般にブドウ変異体或いは自然感染変異体に見られる変異が優占的に選抜され増殖する傾向が認められた。ホップ、カンキツ、及びシロイヌナズナについては一部で感染が確認され、現在子孫ウイロイドの塩基配列を解析中である。 これらの結果の一部は、平成13年度日本植物病理学会東北部会(秋田市)と平成13年度日本分子生物学会(横浜市)で発表した。また、2002年8月開催の国際ウイルス学会(フランス、パリ)で発表の予定である。
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