2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12660055
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
南條 正巳 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (60218071)
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Keywords | 火山灰 / アパタイト / 植生回復 / リン / リン灰石 / キレート剤 / 有機酸 |
Research Abstract |
前年までのピナツボ火山灰に含まれるアパタイトを用いた検討に引き続き,雲仙普賢岳火砕流堆積物に含まれるアパタイトに関してその溶解特性,存在状態,植物に対するリン供給について検討を進めた.雲仙普賢岳火砕流堆積物は垂木台地において主に1993年の火砕流堆積物を採取した.同堆積物は粗粒質でレキが多いが,堆積物の厚さが薄く,根が旧土壌に達する場合や旧土壌から茎が地表に出る場合には植生の回復は早いと見られた.しかし,堆積物が厚い場合には植生回復は2001年9月現在でも貧弱であった.その原因として厚い同火砕流堆積物では多数の植物養分や有効水が乏しいことが考えられ,アパタイトも充分な可給性をもっていないと見られた。 同火砕流堆積物の可給態リン含量は数十mgP_20_5kg^<-1>と少なかったが,粒度分画をすると粒度の小さい画分ほど可給態リン含量が増すこと,粗粒画分でも粉砕すると可給態リンの検出量が増すことなどはピナツボ火山灰と同様であった.細砂の重鉱物画分を用いて走査型電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分析によりリン含量に富む鉱物を調べると,Ca/P原子比からアパタイトと考えられる鉱物が単一粒子または他の鉱物の包有物として認められた.粗粒画分を粉砕すると可給態リンの検出量が増した理由は包有状態のアパタイトが粒子表面に露出したためと考えられた.アパタイトに含まれる他の陰イオンは塩素であった.同堆積物でキレート剤分泌能を持つキマメ,ヒヨコマメ等を栽培すると無リン区の生育はピナツボ火山灰より貧弱であったが,その理由は同堆積物が粗粒質で可給態リン含量が低いためと推察された.
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