2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12660057
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
東 照雄 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (20094170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 憲司 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (70211373)
上條 隆志 筑波大学, 農林学系, 講師 (10301079)
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Keywords | 土壌生成 / 三宅島 / スコリア / 土壌養分 |
Research Abstract |
本研究は、植生分布や遷移について既に多くの知見がある三宅島をフィールドとして、新鮮なスコリアあるいは溶岩から出発する初期土壌生成過程に注目し、発達程度を異にする各土壌を研究対象として、その植生遷移段階と噴出年代を特定化した上で、微量要素を含む植物養分の蓄積量および存在様式の変化に基づく植物養分蓄積過程の解明を行うことを目的とした。 1)1983年噴出で裸地の地点と1874年噴出の既にタブ林が成立した地点において、土壌断面調査を行った結果、後者は、13cmのA層の下部にC1からC5までのC層を持つ火山放出物未熟土(スコリア質)であり、裸地ではC層のみ6層に分けらる未熟土であった。 2)両断面の層位別試料の採取を行い、粒径組成・pH・水溶性塩基および交換性塩基の定量を行った結果スコリア噴出・堆積後17年と125年間における以下の養分蓄積過程の差異が明らかとなった。つまり、両土壌を比較すると、表層の試料で0.5mm以下の粒径画分が約6倍に増加し、pHは約1ユニット低下し、交換性塩基量もカルシウムで約17倍の増加を示した。この増加は、粘土含量・土壌有機物の増加と良く対応していた。 3)今後は、両土壌の中間的段階と、約1000年を経過した成熟した土壌も含め、土壌養分蓄積過程のより詳細な側面について研究を継続する。なお、三宅島の噴火により火山灰の堆積影響が考えられるが、上記の試料は噴火前に幸運にも採取しているので、研究遂行上は問題ないし、火山灰の土壌影響評価も行う予定である。
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