2000 Fiscal Year Annual Research Report
アスコルビン酸ペルオキシダーゼによる光過剰エネルギー消去の分子機構の解明
Project/Area Number |
12660090
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
重岡 成 近畿大学, 農学部, 教授 (80140341)
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Keywords | アルコルビン酸ペルオキシダーゼ / アスコルビン酸 / 活性酸素 / 光酸化的ストレス / 選択的スプライシング / 遺伝子発現制御 / 転写後調節 / 形質転換 |
Research Abstract |
葉緑体型APXアイソザイムの選択的スプライシングによる発現調節機構の解明 選択的スプライシングの発現制御機構を解析するために、ホウレンソウの各組織における葉緑体型APXmRNAの発現比率をRNase Protection assayにより検討した。その結果、葉ではsAPXをコードする3種類のmRNA(sAPX-I,-II,-III)とtAPXmRNA(tAPX-I)はほぼ同じ比率で発現しているのに対し、茎および根ではtAPXmRNAの発現比率が著しく減少していた。この発現比率の変化はsAPX-IIImRNAの増加およびtAPX-ImRNAの減少に依存しており、sAPX-Iおよび-IIの比率は変化していなかった。この結果から葉緑体型APXの選択的スプライシング機構が組織特異的に制御されていることが明らかになった。現在、組織特異的制御に関与する因子の同定を行っている。 葉緑体型APXを過剰発現もしくは抑制させた形質転換タバコを用いたAPXアイソザイムの生理的意義の解明 葉緑体型APXの生理的意義を解明することを目的とし、ホウレンソウのtAPXcDNAをCaMV35Sプロモーター下流に順向き(過剰発現用)もしくは逆向き(アンチセンス;抑制用)に連結し、アグロバクテリウムを介してタバコへ導入した。過剰発現タバコは50系統得られ、遺伝子の導入およびチラコイド膜上で約20倍のAPX活性の増加が確認された。現在、T2世代の栽培を行い、光酸化的ストレス条件に対する応答を検討している。一方、抑制タバコでは通常光(300μE/m^2/s)でのカルスの培養が困難であった。これは葉緑体型APXの抑制が光酸化的ストレス耐性能の著しい低下をもたらしたためと考えられた。そこで、弱光(50μE/m^2/s)下で再度培養を行った結果、7系統の形質転換体が得られた。現在、遺伝子の導入およびAPX活性の減少を確認している。
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