2001 Fiscal Year Annual Research Report
可溶化型T細胞抗原レセプターを用いた免疫系による食物抗原認識機構の解析
Project/Area Number |
12660109
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸塚 護 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 客員助教授 (70227601)
|
Keywords | T細胞レセプター / β-ラクトグロブリン / 食品アレルゲン / バキュロウイルス発現系 / 昆虫細胞 / 分泌発現 / 腸管免疫 / 抗原認識 |
Research Abstract |
主要な牛乳アレルゲンであるβ-ラクトグロブリン(β-Lg)に特異的なマウスCD4陽性T細胞クローンG1.19は、MHCクラスII分子である1-A^b分子とβ-Lgの119-133残基に相当するペプチド(P119-133)との複合体を特異的に認識する。P119-133はC57BL/6マウスにおいて、β-Lg由来の抗原ペブチドのうち最も効率よく抗原提示され、最も強いT細胞応答を誘導するペブチドである。 G1.19由来可溶化型TCR(sTCR)をバキュロウイルス発現系を用いて分泌発現させ、抗TCRβ鎖抗体を用いてアフィニティー精製した。sTCRα鎖はその定常領域下流にロイシンジッパー構造を形成する塩基性ペプチド、c-mycのエピトープ配列をつけたものであり、sTCRβ鎖はその定常領域下流にロイシンジッパー構造を形成する酸性ペブチド、ビオチン化酵素(BirA)の認識配列をつけたものである。 精製したsTCRにビオチンの存在下BirAを作用させることにより、ビオチン化されることを確認した。さらに、ビオチン化sTCRをストレプトアビジンと反応させると、多量体化sTCRが調製できることを確認した。 1-A^b遺伝子を導入したP12細胞を抗原提示細胞として用い、P119-133存在下でのG1.19の増殖応答に対するsTCR添加の影響を検討した。その結果、sTCR添加によりG1.19の増殖応答は顕著に抑制されることが明らかとなった。これはG1.19細胞上のTCRとそのリガンドである1-A^b/P119-133複合体との結合を、sTCRが競合的に阻害したためと考えられることから、本研究で調製したsTCRは1-A^b/P119-133に対する結合能を持つことが明らかとなった。
|
-
[Publications] W.Ise, et al.: "Naive CD4^+ T cells exhibit distinct expression patterns of cytokines and cell-surface molecules on their primary responses to varying doses of antigen"Journal of Immunology. (印刷中).
-
[Publications] T.Yoshida, et al.: "Antigen presentation by Peryer' s patch cells can induce both Th1 and Th2 type responses but a different cytokine response pattern from that of spleen cells."Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry. (印刷中).
-
[Publications] 戸塚 護: "アレルギーの発症メカニズムと予防の考え方"FOOD Style 21. 5・3. 43-46 (2001)
-
[Publications] 戸塚 護: "抗原アナログによるアレルギー応答の制御"臨床免疫. 36・5. 771-776 (2001)