2000 Fiscal Year Annual Research Report
好中球におけるタウリンの転写因子NF-кB活性化阻害の生理学的意義の解明
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12660112
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮本 有正 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (60157691)
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Keywords | タウリン / タウリンクロラミン / 好中球 / NF-кB / IкB / 蛋白の塩素化 / 抗炎症 / アポトーシス促進 |
Research Abstract |
IкBαの塩素化部位の検討: IкBαを^<36>Clと^3Hで標識したタウリンクロラミン(Tau-Cl)で処理しSDS-PAGEで電気泳動後イメージング解析を行ったところ、シフトしたバンドは^<36>Cl標識体で処理した時に検出され、IкBαの塩素化が示唆された。Tau-Clで処理したIкBαをアミノ酸分析した結果、Cl-Tyrosineの溶出時間にピークが現れ、Tyr残基が塩素化されている可能性が示された。IкBαをTau-Clで処理しlysylendopeptidaseで切断後電気泳動を行った結果、42番目のTyrが塩素化されている可能性を示唆するデーターを得た。そこでTyrをPheに変換したIкBαY42Fを作製しTau-Clで処理をしたが、IкBαの塩素化が観察された。IкBαには全部で8個のTyr残基があり他のTyrをPheに変換して、塩素化部位がTyr残基であるかどうか検討中である。また塩素化させたIкBαを適当なプロテエースで切断し、マススペクトルで質量差から塩素が入った断片を検索中でもある。 脱塩素化酵素の探索: 前骨髄性白血球細胞株HL-60をTau-Clで処理し、その後24時間IкBαの塩素化シフトバンドをウエスタンブロットで観察した。処理後6時間後にシフトバンドが消失し、脱塩素化過程が存在するかもしくは塩素化したIкBαがプロテエースで分解しているかのどちらかの可能性が示唆された。次にin vitro系で検討した。大腸菌に生産させたIкBαをTau-Clで処理し、プロテエースの阻害剤を添加した細胞のライセイトと6時間インキュベートした。その結果、IкBαの塩素化によるシフトバンドも処理後6時間で消失しなかった。この実験結果より、塩素化したIкBαはプロテエースで分解されるようである。現在、他の細胞でも同様なことが観察されるか検討中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 宮本有正: "腸管上皮細胞におけるアミノ酸トランスポーターのインターフェロンYによる調節"必須アミノ酸研究. 158. 6-13 (2000)
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[Publications] 宮本有正: "小腸上皮細胞のナトリウム依存性グルコース輸送体に対する緑茶ポリフェノール類の競合阻害"Journal of Agricultural and Food Chemistry. 48・11. 5618-5623 (2000)
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[Publications] 宮本有正: "Caco-2細胞培養時に観察されるジサッカリダーゼ活性の上昇に対する酢酸による抑制効果"Journal of Nutrition. 130. 507-513 (2000)
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[Publications] 宮本有正: "胡麻中のタウリントランスポーター阻害物質の同定"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 64・6. 1166-1172 (2000)
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[Publications] 宮本有正: "緑茶カテキン類による小腸グルコーストランスポーターの制御"Bio Factors. 13. 61-65 (2000)
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[Publications] 宮本有正: "Caco-2小腸上皮細胞単層のインターフェロンYによる過剰透過性にはiNOSの誘導やNOガスの発生は関与しない"Biosci.Biotechnol.Biochem.. (出版予定).