2001 Fiscal Year Annual Research Report
好中球におけるタウリンの転写因子NF-kB活性化阻害の生理学的意義の解明
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12660112
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮本 有正 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (60157691)
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Keywords | タウリン / タウリンクロラミン / 好中球 / NF-κB / IκB / メチオニン残基の酸化 / スルフォキサイド / 抗炎症 |
Research Abstract |
この基盤研究(C)に公募する前の段階において、inhibitory proteinのα-isoform(IκBα)がTaurine chloramine(タウリンクロラミン、TauC1)による細胞処理で何らかの修飾を受け、刺激に呼応するIκBαの分解が阻害され、最終結果としてnuclear factor κB(NFκB)の活性化を阻害すること、及びその分解阻害がIκBの塩素化に起因するのではないかという予備的知見を持っていた。そこで、まず塩素化されるアミノ酸残基を決定する実験から、この研究を開始した。アミノ酸残基のなかで最も塩素化され易いのはTyr残基で、IκBαには8ヶ所のTyr残基がある。これらTyr残基をクンケル法でAla残基に変換していったが、8個全てをAlaに変えてもウエスタンブロットでバンドシフトとして観察されるIκBαの修飾は消失しなかった。同様な実験を次に塩素化され易いTrp残基に関しても試行したが、バンドシフトにはこの残基も関係しないことが分かった。そこで、IκBαのdeletion mutantを作製して、どのアミノ酸残基が修飾を受けているか検討した。その結果、45番目のMetが修飾を受けることが分かった。次に、45番目のMetを含む8個のアミノ酸から構成されるIκBαの部分的なペプチドを作製し、TauClで反応後HPLCとマススペクトルで分析した。その結果、MetはTauClで参加されサルフォキサイドになっていることが分かった。このサルフォキサイド化がIκBαのバンドシフトを起こすこと、刺激に呼応するIκBαの分解が阻害されること、その結果としてNFKBの活性化を阻害されることが分かった。この研究結果は細胞内情報伝達のなかには、蛋白のMet残基の酸化もあるということを示すとてもユニークなものであった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 宮本有正: "好中球におけるタウリンのNFκB活性化阻害機構の生化学的解明"日本農芸化学会誌. 75・9. 980-984 (2001)
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[Publications] 宮本有正: "ラピッド角膜上皮細胞における上皮成長因子によるNa : K : 2Cl共輸送体活性上昇に関わる細胞シグナル系"Journal Membrane Biology. 183・2. 93-101 (2001)
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[Publications] 宮本有正: "組替えバキュロバイラスを用いて昆虫細胞に発現させたタウリン輸送体の特性解析"Protein Expression and Purification. 23・3. 389-397 (2001)