2001 Fiscal Year Annual Research Report
酸性オリゴ糖とのハイブリッド化による乳タンパク質の低アレルゲン化
Project/Area Number |
12660113
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
服部 誠 東京農工大学, 農学部, 助教授 (40221501)
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Keywords | β-ラクトグロブリン / タンパク質ハイブリッド / 低アレルゲン化 / アルギン酸 / オリゴ糖 / オリゴ糖 / メイラード反応 |
Research Abstract |
本研究では、牛乳アレルギーの強力なアレルゲンであるβ-ラクトグロブリン(β-LG)と酸性オリゴ糖を、可食性を維持した状態でハイブリッド化し、β-LGの有用機能である疎水性物質結合能の維持、β-LGの有する優れた機能特性のさらなる増強、アレルゲン性の低減化といった、多岐にわたる機能改変を同時に達成することを目的としている。ハイブリッド化に用いる酸性オリゴ糖としては、アルギン酸由来のオリゴ糖(ALGO、平均重合度4)を用いた。 β-LGとALGOを、重量比1:1で混合の後、50℃、相対湿度79%の条件で24時間メイラード反応させ、分子量22, 000、β-LG: ALGO=1: 6の組成のハイブリッド分子を得た。等電点電気泳動の結果、等電点は酸性側ヘシフト(pI<4.6)していた。また、ハイブリッドを還元カルボキシメチル化の後、トリプシン分解の後、逆相HPLCで糖鎖結合ペプチドを分取し、シークエンシングを行い、糖鎖結合部位を^<60>Lys、^<77>Lys、^<100>Lys、^<138>Lys、^<141>Lysと決定することができた。さらに、自然蛍光の測定、CDスペクトルの測定、モノクローナル抗体を用いたELISAによる構造解析の結果、ハイブリッドはβ-LGのネイティブ構造をほぼ維持していることが明らかとなった。 ハイブリッド化による機能改変として、熱安定性の向上、乳化性の改善、抗β-LG抗体産生性の低下を達成することができた。さらに、ピンペプチドを用いたT細胞増殖試験を行った結果、ハイブリッド化により、T細胞エピトープの分布が大きく変動しない状態で、特にC末端側において低下したことを明らかにすることができた。ALGOとのハイブリッド化により、β-LGの免疫原性を効果的に低下させるごとができ、そのメカニズムとして、糖鎖によるエピトープの遮蔽が重要であることを明らかにすることができた。
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