2001 Fiscal Year Annual Research Report
キラヤサポニン経口投与による食細胞の活性化に関する研究―第2次大戦前のカナダ・アメリカ・ブラジルを事例に―
Project/Area Number |
12660122
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
八田 一 京都女子大学, 家政学部・食物栄養学科, 助教授 (00309056)
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Keywords | キラヤサポニン / 貧食細胞 / マクロファージ / 貧食活性 / 走化性 / 大腸菌感染実験 / 自然免疫 / 細胞毒性 |
Research Abstract |
【方法】キラヤサポニン(QS)はQuillaja saponaria Mol.の樹皮から抽出精製したサポニン画分の凍結乾燥粉末を用いた。QSを0^〜100μg/mlの濃度で添加したDMEM培地でマウスのマクロファージ株化細胞(J774)を培養し、その走化性、貧食活性および細胞性を調べた。また、1群10匹のddyマウス(雄5週齢)に、体重1KG当たり0^〜50mgのQSを経口投与した後、経時的に解剖して腹水および脾臓細胞を回収し、培養容器への付着細胞をマクロファージとして、その走化性および貧食活性を測定した。走化性はケモタキチャンバー法で、貧食活性はラテックスビーズ法で、細胞毒性は改良MTT法で測定した。また、QS経口投与マウスの細菌感染予防効果を調べるために大腸菌C11株をマウスに腹腔注射(6×10^<10>cfu/マウス)し、5日間の生存数を観察した。 【結果】細胞培養系では、QS濃度0.01^〜0.3μg/mlで用量依存的にJ774細胞の貧食活性が促進された。細胞毒性はQS濃度10μg/ml以上で認められた。マウスへの経口投与では、QS投与量0.5mg/kg以上の群の脾臓マクロファージの走化性および貧食活性ともに、無投与群のそれぞれに対して約2〜3倍の活性促進効果があった。これらの活性促進効果は、走化性については4日間、貧食活性については10日間持続した。マウス腹腔マクロファージの貧食活性は、QS無投与群に対して投与0.5mg/kg群が2.6倍活性化された。また走化性は無投与群に対して、投与0.05mg/kg群が6.0倍、投与0.5mg/kg群が7.5倍活性化された。大腸菌感染実験では、無投与群の生存率0〜30%に対し、QS0.5mg/kg投与群の生存率が60〜80%となり、QSの経口投与で大腸菌感染予防効果が認められた。この感染予防効果はマウス腹腔マクロファージの活性化に伴う自然免疫力の向上に起因するものと考えられた。
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