2000 Fiscal Year Annual Research Report
里山の落葉広葉樹林における樹冠構造の違いが水循環特性に及ぼす影響
Project/Area Number |
12660134
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
服部 重昭 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (30273212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝野 博文 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00143412)
田中 隆文 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (40192174)
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Keywords | 落葉広葉樹二次林 / 水循環 / 放射収支 / 熱収支 / 蒸発散 / 流域水収支 / 樹冠構造解析 / 里山 |
Research Abstract |
愛知県瀬戸市の東京大学大学院附属愛知演習林と豊田市のフォレスタヒルズの落葉広葉樹二次林において、水循環の素過程を時系列的に観測し、季節に伴う樹冠構造の変化が水循環に及ぼす影響を定量的に解析し、以下のような結果を得た。 1.樹冠における降雨配分 樹冠通過雨量は夏季に少なく、落葉とともに増加する季節変化を示し、同様な傾向が樹幹流下量にも認められた。したがって、樹冠遮断量は着葉期に大きく、落葉期に小さい季節変化を示した。樹幹流下量は樹木の直径と密接な関係があり、回帰式(樹幹流量と林外雨量)の傾きと直径はべき乗式で近似できることが分かった。また、ヒノキやソヨゴでは、樹幹流が樹冠の上部で発生することを確認した。降雨時の強風は樹冠通過雨量を増加させる傾向がある。 2.放射収支特性 林冠上での放射環境を測定し、放射収支の実態を明らかにした。林冠上でのアルベドは11%〜15%の範囲で変化し、葉の展開とともに大きくなり、落葉とともに減少する季節変化を示した。年平均アルベドは常緑樹林より2〜3%大きい。また、純放射量は年間ベースでみると日射量の約57%であるが、その割合は着葉期に大きく、落葉期に小さい季節変化を示した。このような傾向は、常緑樹林とほとんど差がなかった。 3.蒸発散特性 年蒸発散量は年降水量の約54%で、4月からの葉の展開とともに急増し、10月からの落葉とともに急減する季節変化を示した。そのため、顕熱伝達量は葉の展開が始まる時期に大きなピークを形成する特徴を示し、林冠での葉量変化が林分熱収支の季節変化に大きな影響を与えることが確認された。
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