2000 Fiscal Year Annual Research Report
非木材林産物生産による熱帯林の持続的利用と多様性保全
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12660136
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹田 晋也 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教授 (90212026)
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Keywords | 非木材林産物 / 熱帯林 / 多様性保全 / 東南アジア / タイ / ビルマ / 安息香 / ポリティカルエコロジー |
Research Abstract |
COE形成基礎研究によって新たにアジア・アフリカ地域研究研究科に所蔵された「Indian Forester」「Indian Forest Records」と、代表者がこれまでに収集した「タイ国国立公文書館所蔵の森林局関連文書」を素材として、19世紀後半からの東南アジア大陸部を中心とした「非木材林産物生産資料集成データベース」の構築を始めた。 1)データベースの構築:科学研究費助成金でパソコンと補助記憶装置を購入した。上記資料を整理し、データベースのスタイルを決定した上で、上記データベースに入力している。 2)資料の追加収集:また上記以外の資料として「台湾総督府の熱帯林関連文書」を閲覧調査するために京都大学並びに東京大学図書室を訪問した。台湾関連では、樟脳の生産と流通が、興味深い。江戸期の日本は、世界的な樟脳生産国であり、とりわけ薩摩藩・土佐藩が長崎出島を通じて樟脳を輸出した。明治期に入り、日本の樟脳生産は、当時の植民地である台湾に移り、台湾総督府の大きな収入源となった。再生樟脳の技術開発、セルロイド需要などが重なり樟脳需要が伸びた一方で、合成樟脳の出現により、天然樟脳の生産は減少してゆく。近代化過程で代替が進む熱帯林産物の典型を見るようである。 3)現地調査:研究分担者として参加している科学研究費補助金(基盤研究A)(代表者:古川久雄)で、ラオスでの安息香の現地調査を行い、同じく研究分担者として参加している科学研究費補助金(基盤研究B)(代表者:安藤和雄)で、ミャンマーでの森林産物利用の現地調査を行った。これらの現地調査を本研究と有機的に連携させて、非木材林産物生産と結びついた熱帯林保全の検証作業をすすめている。 初年度にはデータベース構築作業を開始し、現在も鋭意、作業を進行中である。今後は、このデータベースの充実に努めるとともに、それを活用して、20世紀の熱帯林産物のポリティカルエコロジー研究を進めたい。
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