2002 Fiscal Year Annual Research Report
森林山腹斜面における水・熱の動態が土壌呼吸量におよぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
12660139
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
橋本 哲 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (50314620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長山 泰秀 島根大学, 生物資源科学部, 助手 (60228062)
窪田 順平 文部科学省, 総合地球環境学研究所, 助教授 (90195503)
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Keywords | 土壌呼吸量 / 森林 / 斜面分布 / 土壌水分張力 / 地温 / 樹冠状態 / コケ層 / 凍土 |
Research Abstract |
森林山腹斜面における土壌呼吸量の斜面分布と地温および土壌水分の斜面分布との関係について観測結果を基に検討した.観測を行った森林山腹斜面は2っある.1つは,島根県中部の丘陵山地の0次谷の最上部で尾根を含む小水域である(比高約30m).もう1つは,アムール川流域で東シベリア南部に位置する山岳タイガ林流域内の谷から尾根までの斜面である(比高約70m). サイト1では,土壌呼吸量は,斜面全体の土壌が乾燥している場合,尾根筋の土壌呼吸量が,これより下部位置での土壌呼吸量に対して,極端に小さくなった.土壌水分が斜面全体で比較的多い場合,土壌呼吸量の斜面位置による顕著な差が見られなくなった.土壌呼吸量は地温のみの関数では再現できず,土壌水分張力を用いた水分ストレス関数を加えることで再現性が得られた.この土壌水分ストレス関数は,土壌の乾燥に伴いストレス関数が直線的に減少する(土壌呼吸量が減少する)関係であらわされた.斜面各点の土壌呼吸量の日変化や季節変化は地温の影響が大きいことが示された.地温と土壌水分張力の斜面分布を用いたモデルシミュレーションにより,土壌呼吸量の斜面分布を形成する要因を検討した.その結果,土壌呼吸量の斜面分布は,土壌水分張力およびそれに関するパラメータの斜面分布の影響を強く受けていた.特に斜面全体が乾燥状態の場合,土壌水分張力に関するパラメータの斜面分布の影響が大きかったことは注目される. サイト2では,土壌呼吸量は地温との相関が比較的高かったため,地温との関係式を用いた.地温に関するパラメータは,魚眼レンズイメージから推定したLAIと高い相関を有していたことは注目される.本サイトでは,土壌呼吸量の斜面分布は,樹冠状態やコケ層および凍土や土壌水分の熱的な効果が入り組んで形成される地温分布の影響が大きかった.
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