2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12660144
|
Research Institution | YAMAGATA UNIV. |
Principal Investigator |
荻山 紘一 山形大学, 農学部, 教授 (60038239)
|
Keywords | ファイトアレキシン / 健康診断 / モノテルペン類 / メチル化樹脂酸 / デヒドロアビエチン酸 / イソピマール酸メチル / ピノシルビン / 菌糸成長阻害 |
Research Abstract |
外的ストレスに樹木が反応して生成する物質(ファイトアレキシン)を解析することで、樹木の健康を診断する方法を検討した。ファイトアレキシンの供給を枝葉からの揮発、林内雨や樹幹流などの給水、および罹病組織周辺への樹脂分泌に分け、病徴指標化合物の検出を目的に成分の比較を試みた。衰弱樹と健全樹の樹幹流、枝葉揮発物質および溶剤抽出物、及び罹病組織の溶剤抽出物を分析した結果、次の結論が得られた。(1)常緑針葉樹のスギ、アカマツにおける強い酸性樹幹流は樹木の健康を示す指標である。(2)衰弱(細断、赤ガレ病、およびエスレル投与)苗木の揮発性物質として、α-ピネン、β-ピネン、ミルセン、カンフェンなどが検出されたが、エチレン、エタノール等は観察できなかった。(3)スギ苗木のn-ヘキサン抽出物量は衰弱で減少し、成分的にはモノ及びセスキテルペン含有量が多くなるが、ジテルペン炭化水素成分については、ほとんど差がなかった。酢エチ、メタノール抽出物量は、フェノール成分を主体とし、衰弱とともに枝葉と根で増加し、茎幹で減少した。(4)材線虫病アカマツの罹病組織抽出物はα-ピネン、未同定セスキテルペン、ピノシルビン関連フェノール、デヒドロアビエチン酸を主成分とし、漏脂病琉球マツの場合、α-ピネン、β-ピネン、カンフェンを主成分とし、セスキテルペン類は、ほとんどないが、デヒドロアビエチン酸など多量の遊離樹脂酸類とともにイソピマール酸メチルエステルなどのメチル化樹脂酸が相当量存在した。(6)生細胞(枝葉、形成層)のSDS-PAGE法によるタンパク質の相互比較は明確な相違を認めるに至らなかった。(7)主ファイトアレキシン疑惑物質の生物検定試験は現在、未だ進行中であるが、存在の確認された、ほとんどの化合物、特にモノテルペン化合物には阻害活性が認められ、これらの化合物は健康診断の指標物質となる可能性がある。
|
Research Products
(1 results)